今までで一番自分に合った職場。ここでの仕事が生きがいです【そば処 信濃路】

最初の就職先で「体を動かしながらお客様と言葉を交わす接客の仕事が向いている」と実感した梅澤さん。さまざまな職種や結婚・出産を経てもその思いは変わらず、現在はそば店で充実した毎日を過ごしています。

実家が農家だったこともあり、梅澤さんは高校卒業後、農協が運営するガソリンスタンドで働き始めます。「お客様と接して声を出したり体を動かしたりして作業することが自分に向いているとこの時気付いたんです」。給油する際の接客だけでなく、男性スタッフと一緒にトラックのタイヤを交換する、小柄な梅澤さんにとっては大変な作業もありましたが、疲労より楽しさが勝ったと言います。4年後、釧路に移り住み遊技場のスタッフに転職。売り上げなどの管理や接客を担当するようになりますが、毎日大きなお金が動くのでプレッシャーもあったそうです。このころ現在の夫と知り合い、後に結婚。夫の転勤で札幌を経て旭川に移り住んだ時に妊娠・出産を経験しました。

子育て中も昼間は内職、夜は子供を寝かし付けた後に清掃のアルバイトといった生活を15年続けた梅澤さん。やがて子どもも大きくなり手が掛からなくなると、本格的に働きたいと考え始めます。「求人広告を見て、ここなら声を出して体を動かしながら接客ができそうだと思ったんです」。そんな直観の下に再びフルタイムで働き始めたのが、そば処 信濃路でした。

初めて行う飲食店での接客業は、メニュー名はもちろん、ホールでの一連の作業など覚えることがたくさんありました。身に付くまでは逐一メモを取る毎日。分からないことや一度間違えたことは、家に帰ってから調べたり対策を立てたりしてから翌日の仕事に臨んでいました。「当店は常に忙しいので、質問で先輩の時間を取ってしまうのが申し訳なく感じていました。もちろん聞けば優しく丁寧に教えてもらえましたが、だからこそ自分でできる範囲のことは自分で解決しようとしていました」。

ホールで大切なのは、お客様に対して丁寧かつ真摯に接すること。あいさつやオーダー時に交わす会話の中でも失礼のないよう心掛け、入店してから退店するまで心を込めて接客します。また、梅澤さんは相手の顔を見て、目と目を合わせて話すことも大事にしています。特に何度も来ていただいているお客様に初来店のような接客はしたくないのだとか。「常に顔と何を食べたかを覚えるようにしていますね。そして次の来店時に『この前はこのメニューでしたが今日は何にしますか』と話し掛けています」。そのかいあってか、お客様からも認知され、梅澤さんが休みの日には「今日はあの人いないの」と聞かれることもあるのだそうです。

ホールだけでなく、厨房に入って作業することもあります。朝の仕込みの時にはもつ入りのつゆを煮込んでおいたりネギや天かすの準備など、開店直後に注文が入ってもすぐ用意できるようにしています。時にはそばを打つこともあるそうで、業務の幅は実に多岐にわたります。「接客はもちろん、開店・閉店準備や仕込みも、先のことを考えて行動する必要があります。そのためには周りをよく見ることが大事なんです」。人手の足りないほうへサポートに入ったり、出来上がり時間の目安をお客様に伝えたりと、ホールと厨房両方こなせるからこその柔軟な対応を取っています。

更に、アルバイトスタッフへの指導も梅澤さんの担当です。「あいさつをはじめとするお客様対応については自分が意識して行っている分、特に気になってしまいますね」。といっても本人は人に教えるのが苦手らしく、「主語が抜けたり最後まで言い切らなかったり、言葉足らずでうまく伝わらないことが多いんです」と反省しきり。それでも言葉を一つひとつ選びながらなるべく丁寧に説明するよう心掛けているそうです。

成長するには日々勉強。良いことも悪いことも振り返りを行い、時には入社当初のメモを見返して初心に帰るという梅澤さん。お客様のおいしく満足した笑顔を見るため、今日も元気な声で来店客を迎えています。