50歳を過ぎてから巡り会えた天職で生きがいを感じる【有限会社ユートピアアットホーム旭川】

子どもの成長を機に人と接する仕事を志し、介護職員資格を取得した安江さん。50歳を過ぎて初めて勤務した施設で、15年が経った今も元気に働き続けています。その原動力となっているのは、人への感謝と、忘れられない出会いでした。

岐阜県出身の安江さんは、転勤族のご主人と共に北海道内を転々としながら4人の子どもを育ててきました。ようやく子どもの手が離れた約20年前、知り合いの紹介で病院清掃のパートスタッフとして働きながら、ホームヘルパー2級養成講座（※）を受講し始めます。「母親がずっと高齢者支援の仕事をしていて、人とのかかわり合いの中で一生懸命仕事をさせてもらうってすてきだなと思っていたんです」。

もともと人と接することが好きだった安江さんは、濃密に人と接する仕事に対しあこがれにも似た気持ちを抱いていたそう。いずれ福祉施設で働きたいと資格を取得し、今から15年前に現在の職場である住宅型有料老人ホーム「こんにちわ金さん銀さん」と出合いました。「子どもも手を離れていましたから、勤務時間等の希望は特にありませんでした。家から徒歩数分で通いやすい点が一番良かったですね」。

採用後は先輩に付いて動き、掃除や洗濯、食事の見守りといった比較的負担の軽いものから仕事を覚えていきました。起き上がりを支えるなど相手の体にかかわるサポートは、万一けがでもさせてしまったらと最初は尻込みしていましたが、一年ほどで慣れていったといいます。

現在、施設の勤務シフトは6時から15時までの早番、11時半から20時半までの日勤、13時から22時までの遅番、20時半から翌8時半までの夜勤、22時から翌10時までの夜勤という5パターンがあり、10人のスタッフが交替で入居者様の生活支援を行っています。安江さんが常に心掛けているのは、必ずあいさつをして相手の顔色を見ること。「表情や声などの様子から、その日の体調や心の状態をしっかり確認するようにしています。そうした情報はノートに記入し、スタッフ間で共有するため引継ぎもスムーズに行えています」。

住宅型有料老人ホームは、ある程度自立した生活を送れる方が入居対象となっているとはいえ、認知症が進んだりすれば意思の疎通が難しくなる場面も出てきます。「大事なのは『聞くこと』です。相手が感情的になっていたり、話が要領を得なくても遮ったりせず、顔を見て聞いてあげるだけで安心しますから」。

そんな安江さんには、今も心に強く残っている人がいます。働き始めた年に入居していた、重い認知症の方です。「話ができるわけではないのですが、いつも私のそばにいてニコニコしてくれていたんです。それがうれしくて、あの笑顔があったから今も働けているんだと思います」。

家より職場のほうが家庭という気がする、と話すほどすっかり仕事が生きがいとなっている安江さん。職場の同僚にも恵まれ、体の続く限りは勤め続けたいと考えています。「私も年齢的にできない作業がありますが同僚がフォローしてくれますし、何でも話しやすく働きやすい環境です。入居者様にもついつい冗談ばかり言ってしまうんですよ」。自ら「天然」と言う楽天的な性格も仕事にプラスに働いているようで、悪い印象を引きずったり、いろいろ気にしすぎたりしないことが長続きできている秘訣と言います。

また、今後も働き続けるために体のケアにも気を配り、休日にはご主人と二人で近郊の温泉に出掛け、日帰り入浴を楽しんでいるそうです。大きな湯船にゆっくり浸かるのが、ストレスの解消と体力回復に何よりなのだとか。

「心に寄り添うサポートを行うには、家族と同様に一人ひとりの人生を理解することが必要です。最後までしっかりお世話をさせてもらえたらと毎日思って働いています」と安江さん。人とかかわり感謝してもらえる喜びを胸に、仕事と向き合う生活はこれからも続きます。