私が選んだ職場【メガネのシオジリ パワーズ旭川店】

もともと印刷デザインを学び、その道を進もうとしてきた橋谷さん。念願かなわず別の道を歩みますが、それまでの学びや仕事の経験は無駄にはなりませんでした。

高校卒業後、旭川高等技術専門学院で印刷デザインを学んでいた橋谷さん。紙からウェブへと情報媒体の中心が移行する時勢もあり、いざ就職活動を始めてみると、学びを生かせる就職先が見つかりませんでした。「旭川以外で探すことも考えていたんです。けれど家庭の事情もあって、市内で探してなければ別の仕事に就こうと考えていました」。もともと高校へ入学してすぐにアルバイトを始めるほど働くことに興味があった橋谷さんは、専門学校を卒業するまでの間、ケーキ屋に居酒屋、写真館でのアルバム制作などさまざまな職種を経験。「どの仕事が向いているか分からないので、とにかくやってみようという精神でいろいろなアルバイトをしたんです」。就職活動の時にも同じ考えに至ったのか、彼女が就いたのは夜間の病院で行う医療事務の仕事でした。
患者の受付や電話応対、会計などを2人体制で行っていました。「救急で運ばれてきた酔っ払いに対応したり、外国人から英語で電話が掛かってきたりしたこともありましたね」。
夕方から働きはじめ、早朝に帰宅。忙しい時は仮眠をとることも難しいハードな仕事を4年程続けましたが、体力の限界を感じ、昼夜逆転の生活から離れることにしました。

元気をあげたりもらったりできる、明るく笑顔のあふれる仕事をしようと出合ったのが今の職場でした。アルバイトで経験済みの接客業ですが、初めはうまく話せなかったと言います。「これまではレジ業務などの決まったやり取りがほとんどだったので、勝手が違いました。問診では、どういう用途で眼鏡が必要になるのかを聞きとるのですが全くできず、眼鏡選びの付き添いで来たお客様と雑談をすることから始めましたね」。月に一度行われる新人研修で接客や眼鏡の基礎知識、検眼、フィッティングなどを学び、売場では先輩のアドバイスや接客の仕方を参考にしていきました。その結果接客術が上達し、お客様とのコミュニケーションも難なくこなせるように。上達の裏で過去の仕事の経験が生きていたこともあります。「分からないことや返答に困った時に動揺をみせてしまうと、お客様が不安になってしまいます。それは過去の経験で学んだので、なるべく態度に出さないようにしてさりげなく先輩を呼んでいました」。今では常連さんができたり、指名されたりすることも。「前回の接客を覚えていてもらえるとうれしくなりますし、やりがいになっています」と橋谷さんは話します。

過去の経験が生きたのはこれだけではありません。アニメのキャラクターとコラボレーションした眼鏡を取り扱う「アニコラメガネ」というコーナーで、専門学校で学んだ印刷デザインの知識が思いがけず生かされることになります。「ここで使われるプライスカードが足りず、不足分を本物そっくりに追加で作ったんです。当時勉強したことを生かすことができましたね」。その後、キャンペーン用の店内ポップやディスプレイは、ほとんどが橋谷さんの担当になりました。
入社からおよそ3年。お客様へ自ら提案したフレームが購入につながったり、フィッティングでの鼻当てやつるの調整もすっかり板についてきました。ドラマを見ていて当店にも置いているものではないかと、ストーリーよりも眼鏡に注目してしまうことも。そんな橋谷さんには2つの目標ができました。「遠近や中近といった両用眼鏡をしっかりお勧めできるよう、レンズの知識を広げたいです。それから、説明をより理解してもらうために言葉の言い換えでどうしたら伝わるのか模索しています」。
入社当初と比べ、接客の様子が見違えるようだと上司から評される橋谷さん。「とにかくやってみよう」から始まった仕事の道がここまでの成長につながりました。