私が選んだ職場【そば処 氷雪庵】
2021年10月25日公開
高校卒業後、旭川医科大学へ進学した城田さん。しかし、コロナ禍による休校やリモート授業のため、ほとんど学校へ行くことはなかったと言います。家から出ない環境を変えようとアルバイトを始めることにしました。
制限の多い生活環境の中で、やりがいを感じ伸び伸び働ける場所。
アルバイトスタッフ
城田拓也さん(20歳)
札幌市出身。旭川医科大学で勉学に励む傍ら、土日の休日を利用してアルバイトに勤しむ。双子の弟がいる。
閉塞した日常からの脱却。初めてのアルバイトに挑戦。
札幌の高校に通っていた城田さんは、旭川医科大学に進学が決まったため、旭川に移り住みます。しかし、新型コロナウイルスの影響で大学は休校状態。なかなか大学の授業が再開せず、家から出ることもほとんどありませんでした。このまま無為に過ごすのはもったいないと心機一転、アルバイトをしようと思い立ちます。「高校時代は校則でアルバイトが禁止されていたので、働くのは当店が初めてでした。賄いがあることに加え、食券制でレジ作業がないのは、僕のようなアルバイト未経験者にとって働きやすいのではと考えたんです」。
こうして2020年8月、そば処 氷雪庵で初めて「働く」ことを経験する城田さん。当時をこう振り返ります。「すべてが初めてで、大変だったという印象です。そばの盛り付けなども最初はうまくいかず、苦戦の連続でした。それでも、新しい挑戦にやりがいを感じていましたね」。
的確な段取りでスムーズに作業をこなす。
土・日曜の週2回、午前中からシフトに入っている城田さんの一日は、掃除から始まります。食事を提供する場所だからこそ、衛生面に気を配り丁寧に清掃。多くの人が触れる券売機はアルコールを吹きかけしっかりと拭き取っています。掃除を終えたら、次は食材のチェックです。具材の盛り付けを担当することもあり、品質が落ちていないか味見をして確認するそう。また、一日に必要な量を想定し、足りなくなりそうなら調理全般を担当する店長にストックを作ってもらい、オープンに備えます。
開店後の城田さんの主な仕事は食券の受け取りとオーダー確認、具材の盛り付けに洗い物と多岐にわたります。一つひとつの作業自体は難しくはありませんが、それぞれを並行して行い、どれも滞ることなくこなすことが大変だと言います。「なるべくお待たせしないよう、段取りを考えながら作業しています。特に土日はお客様が多いので、初めのころは思考が追い付かずパンクしそうでした」。接客する機会は、食券を受け取る時と料理を渡す時、食器返却のタイミングしかないそうですが、どんなに忙しくても言葉を交わす際には明るいトーンで話し掛け、マスクの下では常に笑顔を心掛けているそうです。
初めてできた後輩を優しくサポート。
アルバイトを始めて約1年、幾度かの休業をはさみながらも経験を積み上げ、速さと正確さを身に付けた城田さん。メニュー写真通りの盛り付けも手早くこなせるようになり、食券の受け取りや洗い物などの並行作業にも余裕が生まれるようになりました。何より、一番の変化は、城田さんが先輩になったことです。「早く職場になじんでもらえるように、友人のような親しみやすい接し方を心掛けています」。しかし、業務では先輩として後輩の動向を気に掛けることも多いそうです。「以前は自分のことだけで精一杯でしたが、今は手伝うゆとりもありますから」と城田さん。洗い物を代わって時間を作り、盛り付けの仕方をアドバイスしたり、忙しさで余裕がなさそうな時には「大丈夫?」と声を掛けるなどしてサポートしています。
働くことで得た知識が、これから目指す医師の仕事に直接生かされることは少ないかもしれません。それでも、努力自体は自信につながると信じ、「歳の離れた方や初対面の方と言葉を交わした経験も、今後に役立てたい」と話す城田さん。コロナ禍の何気ない選択が、進む道を引き立てる薬味のような経験になろうとしています。
使用済みの食器は軽く洗った後、食洗機に入れる。
薬味のねぎを皿の上に盛り付ける。「分量も感覚である程度分かるようになった」と城田さん。
お客様から食券を受け取り、呼び出しベルを渡す。常に笑顔と明るい声は欠かさない。
一人ひとりの性格に合わせて指導しています。
当店は年齢に関係なく和気あいあいと働ける環境です。指導もその人の特性を見ながら臨機応変に対応しているので、未経験の方もご安心ください。アルバイトさんに任せている作業はそこまで難しいものではありませんので、根気強くやり遂げられる方なら長く働いていけるのではないでしょうか。
代表取締役 店長/須藤耕市さん
株式会社蕎花楼
そば処 氷雪庵
昨年8月にオープンした、「道の駅あさひかわ」のフードコート内にあるそば処。細打ちの「さらしな」、太打ちの「いなかそば」から麺を選ぶことができる。
北海道旭川市神楽4条6丁目1‐12
旭川地場産業振興センター内