環境に直接関わり社会に貢献する必要不可欠な仕事【株式会社北海紙業】

2022年12月19日公開

旭川市内を中心に古紙を回収する「株式会社北海紙業」。集めた紙を選別し、製紙工場へ原料として納入する同社を尋ね、会社としての理念や職場環境についてお話を伺いました。

回収と選別の両輪で古紙再生の循環を担う

株式会社北海紙業取締役／山本高行さん

「株式会社北海紙業」は、1971年に設立。一般家庭や事業所から古紙を回収する営業と、集めた紙を種類ごとに細かく選別し製紙原料にする工場内作業に分かれ、およそ30名のスタッフが働いています。「選別は2006年から始めました。現在は15名が工場内で選別や圧縮・梱包に関わり、12名が旭川を中心に近郊から紙を回収。2つの事業を両輪にリサイクルを進めているんです」と話すのは、取締役の山本高行さんです。営業時間は8時30分から17時までで、スタッフは1時間の昼休憩の他午前と午後に1回ずつ15分の休憩でリフレッシュ。戸別回収や古紙の持ち込みにも対応し、お盆と年末年始以外は稼働しています。

同社は2008年、日本紙パルプ商事株式会社の傘下に。グループの企業理念である「誠実をもって人の礎とし、公正をもって信頼を築き、調和をもって社会に貢献する」を指針とし、リサイクルシステムの一端を担う誇りを胸に日々業務を遂行しています。

円滑な作業のため確認を怠らない

営業は1課と2課に分かれ、1課は各エリアで一般家庭の紙資源を、2課は工場や自治体など決まったルートを回って事業所から出る紙資源を収集します。「工場内作業を円滑に行うために、金属などの『異物』が紛れ込まないようしっかり確認して回収することが大事です」と山本さん。また、2つの課では働き方が違い、1課は毎週金曜と隔週で木曜が休み、2課はシフト制で4週6休と、作業量や内容に適した形で分かれているのが特徴的です。

一方工場では、古紙の選別と圧縮加工を行います。選別作業では、搬入された新聞や雑誌、段ボール、紙パック、それ以外など紙の種類ごとに細かく分けていきます。ふるい分けは機械による自動選別が難しいため、まだまだ人の手が必要なのだそう。その後、種類ごとに選別した紙をベーラーと呼ばれる梱包機械で約1トンの塊に圧縮。これが製紙原料として製紙工場へ出荷され、再び新たな紙へと生まれ変わります。工場内では重機や大型機械を使うため、「事故防止のために決して一人では作業しないようにし、何かあってもフォローできる体制を取っています」と、安全に配慮した環境づくりを徹底しています。

職場環境を着実に整備中

人材育成や職場環境の整備について、山本さんに同社の指針を尋ねてみました。「以前は指導者の教え方によって新人スタッフの理解度にばらつきがあったので、現在マニュアルを整備して平準化している最中です」。業務には古紙の知識が必須なため、「古新聞と古雑誌では何が違うのか」「感熱紙はなぜリサイクルできないのか」といったことを習得してもらい、「個人差はありますが3カ月程度で一通りのことができるようになります」と山本さん。フォークリフトや重機の操作に必要な資格や免許に関する制度化はこれからと言いますが、成長したいという本人の意思を尊重し、会社が取得サポートをすることもあるそうです。

ハード面では過去に、季節を問わず快適に作業できるよう選別エリアに冷暖房設備を導入しており、将来的には更なる構想を計画中。「古紙以外の資源再生に着手したり、同時に工場の規模を拡大、移転をして更に働きやすい職場にしていきたいですね」。現在の業務にとどまらず、時代にあった環境づくりを見据えていました。