ピックアップ情報 苫小牧の街に熱い炎が復活!音楽フェス「活性の火’22」レポート

2022年9月26日 公開

苫小牧の中心街を舞台に、夏の終わりの恒例イベントとなった野外音楽フェス「活性の火’22」が2022年8月27、28の両日、若草中央公園で開かれました。新型コロナウイルスの感染防止対策でおととしは有料で1日のみ、昨年は中止となりましたが、今年は3年ぶりに入場無料、2デイズでの復活。久々に街が音楽と熱気に包まれた2日間をレポートします。

聴衆と演者が待ち焦がれた活性の火、熱く燃える。

【当日レポート1日目】8月27日(土)

感染症対策もスムーズに

例年なら晴天が続く8月の終わりの苫小牧だが、雨の天気予報は覆らず、小雨の幕開け。会場入り口ではアルコール消毒と検温が行われ、来場者はスムーズにステージ前に流れていく。今回はメインの「アクティブステージ」とサブの「ファイヤーステージ」の2カ所、それぞれ雨天に対応したステージが設営されている。タイムテーブル通り、午前10時15分に演奏がスタート。2組目には地元の若手経営者らのバンド「THE FLEA MARKETS」が登場した。メンバー5人のうち3人がバンド経験者ということもあり、熱いメッセージを乗せた音楽は若者に引けを取らない。「お父さん頑張って!」と手を振るちびっ子に夫の勇姿をスマホで撮る奥さん。ほほ笑ましい応援に会場の空気が和む。

午前11時にスタートしたオープニングセレモニーでは、苫小牧市の公式キャラクター・とまチョップと共に登壇した岩倉博文苫小牧市長が「苫小牧でも全国の地方都市と同様、活性化が課題となっている。今日のように、若い皆さんにこの中心市街地へ足を運んでもらおう、そんな思いを活性の火を通じて感じ取ってもらいたい」などとあいさつ。続いて、実行委員長の杉村原生さんが「我々なりに音楽を通じて地域を盛り上げ、また若い人たちに活躍の場を残していくため、活性の火を何とか続けていきたい。今日は雨模様ですが、我々の熱気で吹き飛ばしていきましょう」と聴衆に呼びかけた。

ZIGGYのステージに熱狂

開会宣言と同時に、無情にも雨足は強まってしまう。しかし、そこはさすがフェス慣れした聴衆たち。手際良く傘や雨具を広げる。雨などものともせず、ビートに乗って手を振り、飛び跳ねるスタンディングエリアの人たち。騒がしさから少し離れて静かに観る人もいる。雨は強弱を繰返しつつ止む気配を見せないが、会場に隣接した駐車場に乗り付ける車はだんだんと増え、傘を差した徒歩組も続々と来場してくる。多くの人たちのお目当ては初日のトリに控えた往年のロックスター「ZIGGY」だ。

日が傾きかけ、フィナーレに向かってようやく雨は小降りに。ZIGGYの人気と集客力は抜群で、スタンディングエリアは後ろの方まで聴衆で埋まった。あまりの混雑に、実行委員がマイクを握って聴衆にソーシャルディスタンスを呼び掛ける。遂に演奏開始の午後5時20分、のっけから盛り上がりは最高潮に。まるでコロナ前の活性の火に戻ったかのように聴衆は各々の距離を保ちながら、踊り、波打つ。アンコールの拍手の中、初日は無事終演。「ありがとう」、「頑張ってください」。出口では久々のフェスを心から楽しんだ聴衆たちが募金箱に長い列を作った。

【当日レポート2日目】8月28日(日)

初秋の街を震わせる音楽

雨雲は明け方に去り、秋を感じさせる風が吹く朝を迎えた2日目。ボランティアたちは前日の雨でぬかるんだ入り口ゲートを砂で埋める作業に汗を流す。この日のスタートは午前10時。ドラムの低いビートが街に響き、観客がじわじわと集まり始める。気温は21度とやや肌寒いが、駐車場では車の横にイスやシートを広げてピクニックを楽しむ一行も。秋の高い空の下、みんなが笑顔でフェスを楽しんでいる。

序盤の演者に与えられる演奏時間は15分。実力に応じて20分、25分と長くなる。どのバンドも次回までの進化を誓い、熱いメッセージで聴衆のテンションをあおる。彼らを応援するように、昼近くには時折太陽も顔を出した。

中盤からは知名度のある道内のバンドが名を連ね、午後3時を過ぎると「ザ・ボーイズ&ガールズ」、「ザ50回転ズ」といったおなじみのバンドが続々登場。これらのバンドを目当てに、毎年遠方からやってくる常連組が結構いる。でも、アーティストや曲を知らなくても楽しめるのがフェスの醍醐味。彼らは聴衆を乗せるのがうまい。無意識に口元が緩み、体がリズムを取る。通りがかりのおじいさんもつい自転車を止めて聴いてしまうほど楽しいのだ。

夕刻のエンディングに感動の波

時間は刻々と過ぎ、日が傾き、指先が冷えるほどの秋風が吹く。今年の活性の火がもうすぐ終わろうとしている。スタッフたちはほっとすると同時に、さみしさをにじませる。大トリは地元の「INViSBL」。声帯の不調をものともせず絶叫するボーカルの中原氏を、仲間のバンドが飛び入りでサポート。固い友情で結ばれたアーティストたちの即興のコラボに、会場は感動に包まれる。

熱気も冷めやらないまま、ついに閉会宣言の時が来た。実行委員らと共に登壇した杉村実行委員長は聴衆に語りかける。「活性の火は僕らにとってゴールじゃなく、あくまでも通過点。僕らがこの街に持つ誇りを形にし、街を盛り上げていくことができたらいいなと思っています」。みんながうなずき、拍手を送る。「また来年も開催できるよう、精一杯頑張っていきますので、今後とも活性の火をどうか応援よろしくお願いします!」。また来年!と笑顔で言えないこのご時世。でも「きっとまた来年」とみんなが心から信じる温かなラストシーンで今年の活性の火は幕を閉じた。

【直前インタビュー】コロナ禍の今こそ生の音楽を体感できるフェスに

活性の火’22 実行委員長 杉村原生さん(44歳)/苫小牧市出身。バンド活動経験を経てライブハウス「苫小牧ELLCUBE」、「函館ARARA」を経営する。苫小牧青年経済人が集うバンド「THE FLEA MARKETS」ではギターを担当。

2年ぶりの開催となりました

当初は苫小牧の駅前ににぎわいを取り戻すのが目的でしたが、コロナ禍で“にぎわい行事”は許されないような社会的風潮が強まる中、今はどうやったら継続できるかにシフトしています。仕事や買い物などでの外出が許される一方、余興は自粛しておこうという世論は消えていませんが、みんなで力を合わせてライブやフェスを復活させるんだという意思表示をしなければと思い、全身全霊で準備してきました。

準備を進める中で感じたことは?

以前からご協力いただいている企業には快諾いただき、またコロナ前のように企業訪問はできないのでダイレクトメールをお送りしました。すると、「前から応援したかった」、「若い人が頑張っているのに黙っていられない」など温かい言葉をかけてもらうことが多々あり、至らないながら8年間頑張ってきたことが認めていただけているようでうれしいです。

今年の見どころは?

2年前と同じく若草中央公園に2ステージを設け、27組が出演します。規模は小さいですが、無料で2日間という本来のスタイルに戻し、全国区のプロミュージシャンも招致するなど音楽フェスとしての中身を充実させました。飲食ブースは設けず、アルコールも提供できませんが、生で観て感動を得ることができる、音楽にフィーチャーした内容になっていると思います。

開催に向けた意気込みをお願いします

人によって楽しみ方は違いますが、音楽は日常に存在し、時にその人の人生を左右するほどの力を持っています。感染症の影響で人に会えなくても音楽の魅力は変わりません。僕自身、音楽に感銘を受けて今までの人生があり、音楽に携わっている者として社会に配慮した仕組みの中で、安心かつ快適に音楽に触れ合える機会を提供したいと思います。無料なのでぜひ多くの人に手ぶらで足を運んでもらい、生の音楽の魅力を体感してほしいです。

【事後インタビュー】長寿イベントを目指し、若い世代に特別な体験を

とても活気あるライブでした

感染症対策やエリア制限をしながらの状況下で、初日は悪天候もありながら、想定をかなり上回る動員でした。会場での募金額は過去最高となり、お客様が感動してくれて、募金という形で返したいとの気持ちが作用したのではないかと思います。

コロナ禍での集客効果をどう評価しますか?

1会場のみだったので、当初目指していた中心街を回遊してもらうという趣旨からは外れるかもしれませんが、地元の人が集まるイベントとは違い、これだけの人が苫小牧に来てくれると、近辺での飲食や宿泊などそれなりの経済効果はあり、良い成果を出せたという手ごたえを感じました。来年以降、感染症対策をしながらどういう形で運営するのが最善なのか、引き続き周りの意見も聞きながら判断していきます。

来年は10年目の節目を迎えます

お客様の楽しそうな様子や出演者からの感謝の言葉、ご支援いただいている企業の期待に応えようと一心不乱に積み重ね、気付けばもう10年ですね。市外から人を呼び込み、経済効果や消費喚起を狙うのがテーマですが、8回の開催で運営に携わる人材が育ってきたことは大きな成果です。これからも長く続けるためには人という根を育て、伸ばすことが重要だと考えます。

これからも、関わってくれる若い子たちが人生を歩む上で何かのきっかけになるような出来事を提供したいと思っています。活性の火で特別な2日間を体験した子たちが、活性の火に限らず、下の世代に何かを伝えたいと感じ、願わくは苫小牧の街を盛り上げようという行動につながれば僕は一番うれしいです。

活性の火実行委員会事務局

北海道苫小牧市王子町1-6-12 ELLCUBE内
TEL.0144-35-0501<担当/杉村>

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