お客様にしっかりと寄り添い安心して乗車していただく【相互交通株式会社】

高校の福祉科を卒業後、長年にわたって介護の仕事に携わってきた鈴木さん。以前から憧れていたタクシードライバーになろうと決意し、これまでとは違う形で介護の世界に関わることになりました。

デイサービスを提供する施設で働いていた鈴木さんは、働く環境を変えたいと思い転職を決意しました。「次はどんな仕事に就こうか考えていた時、入手したシゴトガイドに相互交通の求人広告を見つけました。『介護タクシーのスタッフ募集』という文字に目が留まり、これまでの経験が生かせるのではと思いました」。

市内最大手の会社である信用度と、乗客として何度か利用したことのある親近感も手伝い、鈴木さんは応募を決意。面接を受けて入社が決まると、会社のサポートを受けながらタクシードライバーに必要な二種免許の取得に向けて動き出します。「30年以上運転してきた中で悪い癖がついていて、教習所の教官から何度も指摘されました。普段当たり前のように行っていることが実は危ない行為であることを再認識し、初心に返ることができましたね」。

教習所に通うことおよそ1カ月、教官から教わったことを思い出しながら夜中に練習するなど努力したかいもあり試験に無事合格。介護タクシーのドライバーとして業務に就くことになりました。

勤務日の1日は、運行係とのやり取りから始まります。免許証を提示し、体温を測定してアルコールチェッカーで酒気帯びの有無を確認。すべての項目をクリアすると常務する車の鍵と介護タクシーの予定表を受け取ります。「前職での送迎の場合、初めて行く場所は前日に現地確認をしていました。現在は当日の朝に予定がわかるので下見はできません。始めたころは指定時間通りに送迎できるか心配でしたね」。

不安を感じながらもドライバーデビューを果たした鈴木さんでしたが、カーナビを搭載しているので道に迷うことはほとんどありませんでした。仮に迷っても無線を使って本部から的確に誘導してもらえるので遅刻等の心配は全くなくなったそうです。

また、介護タクシーでは、お客様によって必要な対応が異なると言います。「つえを使用している方には手を添えて車に誘導しますし、車椅子利用者の場合には病院に着いてから院内までご一緒することもあります。一般のタクシー
とは関わる範囲が違いますね」。

更に、お客様の顔色や、会話がしっかりとできているかなど、介護士としての目線で確認。気付いたことをスタッフ間で共有し、より良いサービスの提供に生かします。

介護タクシーのお客様がいない時には、通常のタクシーと同様の勤務を行います。要介護者を乗せる時のように、運転中はお客様の安全を第一に考え、悪路や線路を渡る際には「揺れますのでご注意ください」と必ず一声掛けるそう。「お客様の中には浅く座って前の席の手すりにつかまって乗ろうとする方がいらっしゃいます。『やむを得ず急ブレーキをかけた時、顔をぶつけてしまう可能性もありますので、腰を深くかけてシートベルトの着用をお願いします』と万が一に備えてお声掛けをします」。

入社後の研修で教わったことをしっかりと実践してきたお陰で、これまでにトラブルとは無縁だという鈴木さん。そんな彼女の今後の目標は、お客様に喜んでもらい、指名されるドライバーになること。「お客様から『あの人の運転がいいんだよね』と、先輩の名前を聞くことがあります。自分もそんなふうに褒められる運転手になりたいですね」。

尊敬する先輩たちに一歩でも近づくため、プライベートで病院の下見をするなど、努力を惜しまない鈴木さんです。