小学生のころからお菓子作りが好きで、将来の夢はパティシエだったという飯沼さん。「親の影響でお菓子作りを始めて、焼き菓子やパウンドケーキなどを作っては、周りの人たちに食べてもらいました」。高校卒業後の進路は、その夢をかなえるために帯広の調理師専門学校を選択。食材や食文化について学ぶ濃密な日々を送っていましたが、ある日の授業で価値観が変わる出来事がありました。「中国料理の授業で中華包丁を持った時、他の包丁とは異なる切れ味や、手に伝わる感覚に魅力を感じました」。中華包丁や中華鍋など中国料理ならではの調理道具を扱う面白さと奥深さに気付いてからは、中国料理の道へと進路変更。「周囲は私がパティシエになるとばかり思っていたので驚いていました」と当時を振り返る飯沼さんですが、この道に迷いはありませんでした。
在学中に実施された1週間の実習で訪れたのが「美珍楼西家」。社長の鈴木邦彦さんが専門学校の実習講師を務めていた縁もあり、実習先として迎え入れられました。「皆さんとても優しくて、いろいろな仕事を教えてもらったことが印象に残っています。就職をするならここで働いてみたいと思いました」。こうして昨年の春に入社し、現在は調理場の一員として経験を積む日々を送っています。