私が選んだ職場 共生ケアで思いやりの心を育み体験を通じて人と関わる力を磨く【株式会社魅力】

2023年4月3日 公開

高齢者福祉の業界で働いてきた太田さんは、長い間思い描いてきた福祉スタイルを実現するために転職。児童福祉という新たな領域で子どもたち一人ひとりと向き合いながらやりがいを見つけていきます。
株式会社 魅力
地域共生ホーム らしさおむかいさん 副ホーム長&共生ケア担当責任者
太田和伸さん(49歳)
函館市出身。介護福祉士、支援相談員として10年間福祉施設で勤務した後、函館臨床福祉専門学校で講師として後進の指導に当たる。2020年4月から現職。趣味は家庭菜園。

理想の福祉を目指し児童福祉の世界へ転職

専門学校を卒業後、20年以上福祉の世界で働いてきた太田さんは、友人で高齢者福祉施設を運営する株式会社魅力の代表から「共生」をテーマにした新たな施設づくりに力を貸してほしいと声を掛けられました。「全国で実践されている福祉の情報を集める中、理想的な取り組みをしているところがありました。いつか同じような施設を作ってみたいと語っていたことを代表は覚えていてくれたみたいです」。

目指したのは、子どもから高齢者まで、同じ屋根の下で過ごすことのできる施設。先駆的な取り組みをする江別市の施設を何度も訪問し、情報を収集しながら準備を進め、2020年2月に小規模多機能ホームと放課後等デイサービスを併設した「地域共生ホーム らしさおむかいさん」を開設。副ホーム長として勤務することになりました。

これまで高齢者福祉が専門だった太田さんにとって、児童福祉は初めての体験。多少の不安はあったものの、実際に子どもたちと関わってみると不安よりも楽しさや喜びの方がずっと大きかったそうです。「落ち着かなかった子がじっと座っていられるようになったり、おむつを使用していた子がトイレを使い始めるなど、子どもたちの成長していく姿を見られるというのが児童福祉の特徴であり、喜びですね」。

手を出し過ぎず子どもたちに体験させる

一方、時には子どもと接する難しさを感じることもあると言います。「子どもたちの成長に携わる以上、自分の言葉や態度が良くも悪くも影響を与えることになります。自分たちの関わり方が本当にそれで合っているかどうか、常に考えなくてはなりません。責任の重さを感じます」。

太田さんは現在、児童指導員として放課後等デイサービスの利用児童を担当。出勤すると、まずは送迎する児童の時間を確認し、送迎一覧表を作ります。スタッフがどの車を使って誰を迎えに行くのか、帰りはどこに送り届けるかなど、写真を使って視覚的に分かりやすく作成するのがポイント。迎えに行く時間が遅れると、子どもたちが不安がることもあるので、何度も確認を重ねて取り組むそうです。

続いて児童発達支援管理責任者とスタッフ全員で、その日に行う療養プログラムを打ち合わせ。「この施設で行っているのは、子どもたちが社会に出た時のためのベースづくりです。社会を生き抜く力を身に付けるためにいろいろと体験し、楽しみながら経験を積み重ねてほしいと考えています」。

利用児童と関わる中で重要なのは、スタッフが過度なサポートをしないこと。子どもたちが興味を持つことに対して、危ないからといって経験させなかったり、大変そうだからと先回りしてサポートし過ぎないことが大事だと言います。

地域とつながり人と関わる力を養う

同施設の共生ケア担当責任者でもある太田さんは、放課後等デイサービスと高齢者が利用する小規模多機能ホームとを円滑につなぐ役割も担っています。「当施設が目指すテーマは『共生』です。子どもたちと高齢者が一緒にお昼ご飯を作ったり、お誕生日会を開くなど、互いの施設を自由に行き来できる環境を整えるのも私の役目です」。

そんな太田さんが昨年から新たに取り組んでいるのが、自らの趣味でもある農業を取り入れた「農福連携」のプログラム。近隣の農家から畑を借り、雑草取りから野菜作り、収穫までを施設の子どもたちと共に体験。収穫した野菜は子どもと一緒に食べることはもちろん、今後は隣近所にお裾分けをすることも考えているそうです。「畑仕事を通じて学ぶことが多いですね。地域と関わりを持つことで社会とのつながりが生まれ、コミュニケーション能力も強まります」。将来的には事業として農業を本格化し、就職に不安があったり、サポートが必要な子どもたちの受け皿にしたいと、夢の続きに向かって前進を続ける太田さんでした。

働きやすさとやりがいのある職場をつくる

株式会社魅力 代表/波並 孝さん

太田さんは私以上に共生ケアについての熱い思いがある人ですね。地域の町内会との交流や、農業に興味を持つなど、四方にアンテナを張り巡らせて前進する頼もしい存在です。コロナ禍以降、スタッフには思うように外出できないなど、窮屈な思いをさせてしまいました。働きやすく、やりがいを持って働ける環境を整えたいと思って歩んできた当社ですので、今後も定期的に個人面談を行うなど、スタッフの意見をくみ上げ、より良い職場環境を作っていきたいと思っています。

株式会社魅力
地域共生ホーム らしさおむかいさん

放課後等デイサービスと小規模多機能ホームを併設した道内でも珍しいスタイルの福祉施設。双方の利用者が日常的に交流することで、互いに優しく思いやりを持って接する心を育む施設として知られ、見学希望者も多い。
北海道北斗市久根別1丁目28-2
TEL.0138-74-2551
https://omukaisan.miryoku-hokuto.com/

私が選んだ職場

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