複数の飲食店で多くの学びを得て接客。今後は調理も習得したい【焼肉屋 斗膳】

「20歳まで地元の音更町でアルバイトをしていましたが、帯広の中心市街地の居酒屋で働くほうが給与が安定しているのでは」と思い、帯広市内の居酒屋チェーン店に6年、個人経営の居酒屋に4年間勤務しました。

最初のチェーン店では、人見知りのためホール業務の接客に自信がなかったと言います。「でも仕事のスイッチに切り替えられるようになり、人と話すのが苦にならなくなりました」と、勤めて2年後には接客への不安を克服。ドリンク作りを中心に担当し、カクテルを一通り作れるようになりました。2店舗目は長年個人で経営している店で、業者さんやお客様と直接話す機会が増えたそうです。「常連だった会社の重役や社長さんから、人との付き合い方や価値観の違い、観察眼の養い方などを深く学ぶことができたと感謝しています」と振り返ります。

現在の職場、焼肉屋斗膳のオーナーとは15年以上の付き合いがあり、「オーナーが以前経営していた焼き鳥店の味の大ファンでした」と話します。「うちに来ないか」と誘いを受けた時、「あんなにおいしい肉を出す店なら働いてみたい」と思ったのが転職を考えたきっかけでした。

ただ、すぐに転職を決めたわけではありませんでした。「声を掛けてもらったのがおととし。そのころはスーパーマーケットの精肉部門で肉を切る仕事をしていましたが、転職をずっと考えていて今年に入って退職し、3カ月前から働いています」。前の会社へ余裕を持って退職の意志を伝え、自分の周囲の環境などタイミングを見極めての転職でした。

現在秋本さんはこれまでの経験を生かし、肉や野菜を切るなどの開店前の仕込みとホール業務をメインに担当しています。働き始めたばかりなので、ホール内ではメニューやドリンクを落とさずに運ぶ、人とぶつからないなど、基本的なことに気を配る毎日です。

お客様との会話では、今流行しているものやニュースなどが話題になることも多いため、スマートフォンで毎日情報をチェックしています。「こういう情報収集や勉強は20代ではできなかったこと。そこに自分の成長を感じますね」。自分が話し掛けたことに対して、お客様が笑顔で受け答えしてくれると、「喜んでもらえて良かった」とホッとして胸をなで下ろしているそうです。

ここ数年、新型コロナウイルスにより地域の祭りの中止が続いていることから、店では「少しでも楽しんでもらおう」と、お盆などに子ども限定のくじ引きイベントを開催しています。「くじを引いてお子様がキャーキャーと盛り上がっている姿を見ると、うれしくなりますね」。イベントがあることで、リピートしてくれる家族連れも増えていると言います。

店の人気が高まり、忙しい毎日を送っている秋本さん。「お客様の入れ替え時間が短い時でもスピーディーに対応し、ギリギリ次の宴会時間に間に合った場合など、お客様に迷惑を掛けず無事に乗り切れると、肩の荷が下りたようでやりがいを感じます」と話します。当店では経験を積んでいる途中のため、まだ戸惑うことが多い状態ですが、「今の仕事の流れをつかんで慣れれば、次にやるべきこともスムーズにできるはず」と考えています。

当店では「作る過程を知ることで、メニューへの理解を深めてほしい」という方針から、全スタッフに厨房の仕事を教えていて、秋本さんも半年後には指導を受ける予定です。「厨房の仕事も任されるようになって、ゆくゆくは店のすべての業務をこなせるオールラウンドなスタッフを目指したいです」と向上心を持ち、日々仕事に励んでいます。