全員と協力し合い患者の立場になって質の高い治療を提供【さない歯科クリニック】

最初に勤めた歯科医院の院長から徹底的に患者の立場になって考えることを学び、スキルアップを重ねてきた大野さん。2020年、現在の歯科クリニックに転職し、経験ある先輩として職場環境にも配慮しながら、より良い歯科サービスの提供を目指しています。

大野さんは小学生から高校生まで矯正のために歯科医院に通い、「歯科衛生士」の仕事を身近に感じていました。また、「結婚前に歯科助手をしていた母から、『手に職を付けるなら歯科衛生士の仕事はどうか』と勧められたこともきっかけになりました」と、高校卒業後は歯科衛生士科のある専門学校に進学。3年間学び、帯広市内の歯科医院に就職しました。

最初の歯科医院では、現場でどう動けばいいのか分からず、院長から厳しく指導を受けたと話す大野さん。「大変でしたが、その時の経験があったからこそ現在の自分がいると思っています。院長のことは今でも尊敬しています」と感謝します。特に何度も言われたのは、患者の学校や仕事、役割など、生活背景の把握が大事だということ。実技に対してだけでなく、患者の立場になって考える姿勢を徹底的に教え込まれたそうです。「『患者様が気分良く治療を受けられるよう、常に頭を使いなさい』とアドバイスを受けました。実践を重ね、人間として成長できたと感じています」。経験を積んで更にスキルアップを目指し、2020年に開院した「さない歯科クリニック」へ転職しました。

「建物自体も新しく、心機一転、一から始める魅力がありました」と当クリニックを選んだ理由を話します。入口を一般と分けて小児歯科にも力を入れているクリニックですが、大野さんの担当は中学生以上の大人で、仕事内容は治療補助とメンテナンスが中心です。

「事前に予約内容を確認し、それぞれの治療に合わせた器具の準備をします。患者様をお待たせせずに、診察室に入ったらすぐ治療を始められるよう心掛けています」。その後は院長の指示を受けて、治療のサポートや処置を行います。向かいにある産科・婦人科の慶愛病院も同じ法人で運営していることから、当クリニックには妊婦さんも多く来院するため、体調への気配りも欠かせません。時には「おなかが大きくて、子どもの歯磨きの仕上げができない」と不安を口にする妊婦さんもいます。その他、転勤する人、仕事の都合で土曜しか来院できない人など、来院する患者たちの生活背景はさまざまです。「でも、診察する先生は一人しかいません。歯科衛生士として患者様に寄り添い、会話の中で得た情報を先生に提供することで、最良の治療方針が見えてくると感じています」と、患者とのやり取りを大切にしています。

歯科医院というと緊張する人も多いため、大野さんは明るめのトーンで話すことを意識しています。また、若いスタッフに流行の動画やゲームの情報を聞いて話題にし、あまり話さない中学生もリラックスできるよう努めているそうです。「引き出しをなるべく多く持ち、いろいろな会話を通して心を開いてもらい、治療が患者様の負担にならないようにと思っています」。

更に、先生もよく口にするという「お待たせしてすみません」「時間は大丈夫ですか」などの声掛けも実践中です。そうした細やかな対応が喜ばれ、「患者様から『ありがとう。また大野さんでお願いしたい』など言われるとうれしく、やりがいを感じますね」とほほ笑みます。

小児歯科も行う当クリニックでは、親子で来院する患者も多く、親子それぞれの情報を一般歯科、小児歯科のスタッフ間で共有していると言います。また、スタッフは若い世代も多いため、「先輩として職場の人間関係などで困った時に、頼りにされる存在になれれば」と大野さん。これからも働きやすい環境を意識しながら、良いチームワークで質の高い歯科サービスを目指します。