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個々の状況に合わせて利用者を支え続ける【函館一条】

2024年2月12日公開

私が選んだ職場

学生時代に参加したボランティア活動がきっかけで相談支援専門員になることを志した宮島さん。相談相手の「困りごと」を聞き出す難しさに苦労しながら、障がいを持つ人と事業所をつないでいきます。

主任相談支援専門員/宮島友紀さん
函館生まれ。転勤の多い家庭で育ち、幼少期を道内各地で過ごす。趣味は部屋の片付けとお菓子作り。夜中に突如思い立って、大好きなシュークリームを作り始めることもある。

相談者と直接かかわれる職場に転職

大学で福祉の勉強をしていた宮島さんは、ボランティア活動で訪れた事業所で、将来の進路に影響を与える人と出会いました。「福祉業界でとても有名な方で、誰に対しても人当たりが柔らかく、学生の私にも対等な目線でお話ししてくれたんです。その時のうれしさがきっかけで、同じ福祉の道を目指すようになりました」。

卒業後は地域づくりコーディネーターとして地域づくりをサポートする業務に従事していましたが、もっと直接的に障がいを持つ方の支援がしたいという思いが強くなり転職を決意。平成26年に相談支援事業所一条に入社しました。

新たな職場では、福祉サービスの利用者や家族と面談し、関連機関との連携を取る業務を担当しました。相談や悩みを聞くことに多少自信を持っていた宮島さんでしたが、現実はそれほど簡単ではなかったと言います。「障がいによる気持ちのつらさや、生活する上で困っていることについて聞き出すことが目的の面談ですが、質問のタイミングや問いかけによって答えてもらえる情報量が変わります。『どうぞ話してください』では引き出せない未熟さを痛感しました」。

障がいや経済状況など、他人には言いたくない困りごとを話してもらえる人間にどうすればなれるのか、大きな課題が見つかりました。

雰囲気づくりと振る舞いで利用者の信頼を得る

個人とかかわることの難しさを再認識した一方で、これまで以上にやりがいを感じたという宮島さんは、面談時の会話に工夫を重ねたそうです。「初めに話しやすい雰囲気づくりを意識しました。面談はご自宅に訪問して行いますが、慣れた場所でも初対面の人と話すのは緊張すると思います。気軽な会話で場の空気を和ませ、少しずつ本題へと近づいていきます」。

この際、話題として切り出しやすいのが、部屋に置かれた手作り品や賞状、写真なのだそう。「ご趣味なんですか」、「誰が作ったんですか」と、話も広げやすいと言います。

また、訪問する際には身だしなみはもちろん、振る舞いにも気を配るべきだと宮島さんは考えています。「呼び鈴を押すところから始まり、帰る際には車に乗って相手の家から見えなくなるまでが訪問だと思って行動しています。面談中は礼儀正しくても、家を出た途端に粗雑な行動を取る人では信頼を得にくいですからね」。

車のドアは静かに閉じ、シートベルトを必ず締めてから運転するのはもちろんのこと、玄関先に車を停めたまま電話やメールを打ち始めるような行為は控えます。

事業所との関係を強化

面談を重ねて利用者が福祉サービスの利用を始めた後も、相談支援専門員はより良い支援を行うために定期的なモニタリングを行います。「事業所でのモニタリングは、訪問する事業所のスタッフが利用者を支援している時間帯です。業務中に訪問するのですから、『そこにいて当たり前』ではなく『お邪魔してすみません』という気持ちは常に持っています」。

また、事業所のスタッフに任せ切りにしてしまうのではなく、自分も一緒に利用者と向き合い続けますという気持ちが伝わる言動を心掛けているそうです。「事業所では利用者と日々かかわる中で、困っていることもあると思うんです。事業所での状況を伺って、お手伝いできることはこちらも一緒に対応する。そんな連携が取りやすい関係を強化していきたいですね」。

一条で働き始めて10年、ここ数年は函館市近郊にある相談支援事業所と協力し、自治体を越えた関係づくりにかかわるなど、各地を飛び回ってきた宮島さんですが、ここで一度相談支援専門員としての基礎固めをしたいと考えているとのこと。「いろいろな経験ができて手応えを感じる一方で、このままでは相談支援という本分を尽くせません」。しっかりと足元を固めてこれまで以上に地域の福祉を盛り上げていきたい、と話す彼女の言葉に強い決意を感じました。

  • 一日の予定をホワイトボードに書き込む

  • 支援内容が適切か同僚とデータを分析

  • 一週間の動きを報告し合って、相談員の間で情報を共有する

チームの力で多角的に考える

管理者/佐藤浩樹さん

宮島さんは所内のムードメーカーですね。私も含め、スタッフ達からの信頼も厚く、今後は事業所を背負っていく存在になるでしょう。相談支援の仕事は利用者の状況に対して多角的に考えることが重要です。一人で抱え込まず、相談支援専門員が声を掛け合いながら課題をシェアし、〝チーム一条〟としてアプローチするのが当所の特徴です。

社会福祉法人 函館一条
相談支援事業所 一条

地域における障がい福祉サービスを提供する社会福祉法人函館一条が2014年3月に開設した相談支援事業所。6名の相談支援専門員が各種サービスとの架け橋となって相談者を支える。

北海道函館市昭和2丁目5-13
TEL.0138-83-5272
http://hakodateichijou.info/