小規模施設ならではの利点を生かし女性目線のサービスを提供する【合同会社 楚楚 デイサービスSaita】

勤続20年の区切りの年を迎えた干場さんは、かねて温めていた女性向けデイサービスの開設に乗り出しました。重視したのは定員10名の小規模施設。「コンパクトにすることで利用者様お一人おひとりに声掛けができ、コミュニケーションをとることが可能になります。食事も10人分でしたら自分たちで準備できるので、念願のカフェのようなランチも提供できます」。

また、毎日のレクリエーションや年中行事についてもその日の天候や利用者様の状況、体調によって臨機応変に行動できるメリットがあるとのこと。「大きな組織での経験があったからこそ、小規模の利点やノウハウを考えることができました。職員のアイデアや行動力をどこまで具現化できるのかを考えるのと同時に、労力的にも経費的にもどこまで負担を抑えることができるのかにこだわった結果、このスタイルに行き着きました」。

小規模であれば送迎は小型車両で十分。設備投資や維持費用の節約にもつながる上、乗り慣れた車両での送迎ができるなど、従業員にとっても働きやすさにつながります。実はこれこそ、福祉の現場では重要だと干場さんは考えているそうです。

働きやすさについて干場さんは更に次のように続けます。「迎える側が楽しんでいないと、利用者様にも楽しさを提供できないというのが20年間福祉に携わった私の結論です。すべての仕事において楽な仕事はありませんが、楽しく仕事をすることはできます」。介護業界は人材不足という大きな問題を抱えており、その原因の一つに職員の精神的ストレスがあります。「スタッフのメンタルを少しでもケアすることで心にゆとりが生まれ、思いやりの気持ちがサービスの向上につながるのではないかと思います」。

Saitaは女性向けの施設ですが、その点にもスタッフへの働きやすさの秘密があるそうです。「例えば同じ世代の女性同士では食事でも好むものが似ていたり、料理や手芸、園芸といった趣味、昔はやった音楽の話など、おしゃべりに花が咲き利用者様もスタッフにも自然に笑顔が『Saita（さいた）』になります。健康の秘けつはまさしく笑顔です」。

斬新なスタイルが特徴とは言っても、エステやおしゃれな食事はあくまでもデイサービスのコンテンツの一つです。介護施設であるという本分を忘れず、職員にはおのおの資格と経験があります。知識を知恵に変え、それを思う存分に発揮することで、事故なく、お一人おひとりに合わせたケアを実施しています。同所ならではのポイントは、スタッフ間で意見やアイデアを出し合いながら、チームとなって進めることにあります。挑戦する前から「できない、無理、駄目」と言うのはNG。どんな難問も全員で考えるのだそう。「常に問題点を探して改善しようとするポジティブな空気を感じますね」と干場さん。これから1年、2年とますます洗練されたサービスが提供されていくことでしょう。