会話の中からお客様が求める商品を探し当てる【有限会社二協自動車商会】
2022年12月19日公開
自動車ディーラーの営業部で長年活躍してきた成澤さん。ふとしたきっかけで自動車の中古部品を扱う会社に入社し、慣れない専門用語に戸惑いながらも勉強を重ね、お客様の要望に一つひとつ応えていきます。
フロント・営業部/成澤陽子さん
函館市出身。国産自動車の販売店勤務を経て2009年に二協自動車商会に入社。業務中はお客様との会話を重視し、イメージを膨らませながら対応することを心掛けている。湯上がり後の缶ビールが元気の源。
分からない用語はその都度確認する
長年勤めていた会社を退職後、取引先だった二協自動車商会とは疎遠になっていた成澤さんは、近況を報告しようと数年ぶりに同社を訪問しました。「当時お世話になったスタッフとお話ししたところ、人手が足りないという話題になったんです。自動車本体ではなく、車の部品を扱う業務内容に興味を持っていたこともあり、転職をじっくりと検討することにしました」。
多少の不安はありましたが、前職の知識と経験が生かせるだろうと考えた成澤さんは入社を決断。数日後には営業部のフロントに配属されました。ところが、いざ働き始めると大きな壁にぶつかったそうです。「まず苦労したのが部品の名称です。同じ部品でも自動車メーカーによって呼び方が違ったり、聞き覚えのない用語が毎日のように出てくるので、その度に上司に尋ね、時には図に書いてもらって覚えていきました」。
また、同じ車種でも年式やグレードによってわずかに仕様が変わる点には、今でも苦労しているそうです。せっかく部品を手配したのに適合しないこともしばしば。お客様の車をどれだけ迅速かつ的確に特定するかが、無駄な時間を費やさないためには重要だと言います。
車種を特定して適切な部品を素早く手配
車種を特定する際に欠かせないのが、車検証に記載された各種の情報です。時には車検証がないケースもあり、その場合にはコーションプレートと呼ばれる札に記載された内容から車種を特定。適合した部品を手配します。ただし、中古車の場合には以前のオーナーが部品を付け替えていることも多いそう。対象の車が現在どのような状態かを把握することが、部品手配のスピード化につながります。
車の情報が多いほど部品を探しやすくなりますが、お客様に尋ねる時には質問責めにならないように注意が必要です。「詳細が知りたいからとあまりしつこく聞いていると、次第に嫌がられます。相手の声のトーンや言葉遣いが変わってきたら『ひとまずこちらで調べてみます』と伝え、時間を置いて進捗状況をお伝えします」。
車両の情報と共に重要なのが納品日です。お客様によっては車検に出すのですぐに欲しいとリクエストされることも多く、在庫状況次第では急いで手配しなくてはなりません。「自社にない部品は全国の優良自動車リサイクル事業者が登録するネットワーク内の会社から取り寄せます。運送会社の多くが出荷の締め時間を夕方の4時ごろに設定しているので、それまでに手配する必要があります」。
確認を重ねてミスを防ぎスピードアップを図る
また、注文ミスをしないことも、スピード化に必要な要素の一つ。「バックミラーやヘッドランプなど、左右を間違えて頼まれるお客様が意外と多いんです。『右ハンドルの運転席側でいいですね』と確認したり、外国車だったら正面から見てどちらになるかなど、確認作業は徹底的に行います」。
入社して今年で丸 13年、これほど調べ物や確認作業が多い業務だとは思っていなかったという成澤さんですが、苦労して探した部品が見つかった時には、「あった」と思わず声をあげてしまうこともあるとか。納品先のお客様から「お陰で助かったよ」と声を掛けられることもあり、苦労して探したかいがあったと、疲れもどこかに吹き飛んでしまうそう。
そんな彼女の今後の目標は、これまでと同様、お客様の探し物のお手伝いをすること。「自動車はハイブリッド車に変わり、部品も次々と新しいものに変わっていきます。その変化に遅れを取らないように日々勉強していきたいです。会社もどんどん成長できたらいいですね」。あくまでも裏方に徹する、頼りになるフロント担当者でした。
3台のパソコンを使いこなして問い合わせの商品を検索
発送するパーツをしっかりと梱包
パソコン操作がしやすいように電話はヘッドセットを使用
お客様とのやり取りはすべてノートに記入して整理
メモに書かれた内容を同僚に確認
中古パーツとして利用できる部品を丁寧に取り外す
コンシェルジュとしてお客様の要望に応える
代表取締役社長/吉岡篤史さん
成澤さんはフロントの中心人物として活躍してくれています。お客様からの問い合わせに「ノー」と答えることはなく、中古部品がない場合にはリビルド部品の案内をするなど、必ず代替案を提示してお客様に対応していますね。お客様が何を望み、何が欲しいのかを会話の中からくみ取り案内していく姿はコンシェルジュという呼び名がふさわしいですね。
有限会社二協自動車商会
1980年創業。年間に1,300台を超える車を扱う自動車のリサイクル業者。各種部品の査定は中古自動車査定士によって行われ、品質が良く在庫数が充実した業者として評価も高い。ISO14001認証取得企業として函館市から「環境にやさしい事業所」の認定を受けている。全国の同業者をネットワークで結ぶJARAの会員。
北海道函館市西桔梗町862-9
TEL.0138-49-9340
シゴトガイドで配信中の
有限会社二協自動車商会のお仕事情報