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従業員に寄り添いロングセラーの薪ストーブを作り続ける【株式会社大和金属】

2023年6月5日公開

私が選んだ職場

長年勤めた会社を退き、家業を継ぐ道を選んだ髙岸さん。慣れない業界で製造と営業の二つの仕事を兼務し、従業員ファーストの職場づくりにも取り組んでいきます。

専務取締役/髙岸昌寛さん(47歳)
取引先との交渉業務を行う一方、工場ではスタッフの意識改革にも挑戦。裏方でありマネジャー役に徹する勤務歴12年の人情派専務。

畑違いの業界に工場長として転職

電気工事士として長年セメント関連の会社に勤務してきた髙岸さんは、薪ストーブを製造する家業の大和金属に転職しました。「昔から必要とされると応えたくなるタイプでした。ある時、実家の大和金属が後継者を含め、テコ入れが必要な状況だと知らされたんです。自分が役に立つのであればと思い、転職を決断しました」。

しかし、当時勤めていた会社では取締役を兼務していたこともあり、すぐに職場を移ることはできません。髙岸さんはそこで焦らず、時間をかけてすべての業務について引き継ぎを完了。祖父の代から続く会社で働き始めました。

肩書きこそ工場長として入社しましたが、業務については何も分からない状態からのスタートだったそうです。「当社では競合がほとんどいない特殊なものを作っています。経験者が入社するケースはゼロに等しく、一から始めて経験を積みながら覚えていくしかありません。私も各工程を一つひとつ覚えていきました」。

複雑な業務もメモを取って覚える

薪ストーブができるまでの工程は、鉄板の切断、パーツの製造、組み立ての3つに大別され、最初はストーブの胴体に底板と天板を取り付ける作業を担当します。「溶接ではなく、胴体と鉄板の継ぎ目を金づちでたたいて接合していきます。なかなか狙い通りにたたくことができず、自分なりの姿勢を見つけるまでが最初の課題ですね。肘を突っ張って姿勢を安定させるのがコツです」。

昔から書いて覚えるタイプの髙岸さんは、ストーブ作りの各工程も常にメモを取りつつ作業したそうです。「人間は忘れる動物です。かと言って、忘れるたびに何十回も先輩に聞くわけにはいきません。作業の中には年に1回しかやらない仕事もあって、今でも自分で書いたメモを見ながら行っています」。

こうして丸1年間をかけてすべての工程をマスターした髙岸さんは、従業員にも手帳を用意させ、メモを取ることを習慣づけるように指導しているそうです。

また、製造の業務を行う一方、工場長として職場環境の改善にも着手。従業員が会社や製品に対してどのような思いを抱いているのか、ざっくばらんに話せる場や機会を増やし、職場の雰囲気や働き方、メンタル面のケアなどにも取り組んでいきました。

誠意のある営業で取引先の信頼を得る

転職してから12年、現在は個人商店からホームセンターまで営業活動を行っている髙岸さんは、営業に関してはいまだに模索中だと言います。「売り手と買い手の駆け引きがある商談業務は無縁の世界でした。自分は経験が浅く、できることも限られているので、小細工などせずに誠意を全面に出して人情商売を貫いていこうと思っています」。

こうしたスタイルが功を奏したのか、以前に比べて取引先との関係も強化されていると実感。商品提供の契約が一年更新された時はうれしいですねと、営業職のやりがいも感じています。

また、新たな試みとして、夏のレジャー向け商品の開発にも取り組んでいる髙岸さん。関連する展示会に足を運び、取引先の量販店を訪れてはレジャー部門の動向を聞くなど情報収集に努めているそうです。「多くの企業がある中、当社を選んでくれた従業員をしっかり守っていく責任があります。冬の暖房という経営の柱に加え、今ある技術と設備を使って新商品作りができれば良い方向に向かうでしょう」。

折りしも現在は空前のアウトドアブーム。火を扱う道具を提供してきた会社として、このブームに乗り遅れないうちにチャレンジしていきたいですと、熱く語っていました。

  • 材料は両手で持ってけがを防止

  • 本体に傷を付けないように開口部のパーツを設置

  • 加工のポイントをスマホのカメラで撮影

  • 完成品を台車に積み込んで倉庫に運ぶ

従業員の意見を尊重して自主性を高める

ひと昔前まで工場では一方通行の指示によって動いていましたが、現在は各人の意向を聞いてどの作業を優先すべきか本人に委ねています。自分で選んだという意識が芽生え、仕事に対する責任感もアップし、言われたことだけやるというスタッフはいなくなりましたね。従業員あっての生産ですので、働きやすい環境づくりに努めています。

株式会社大和金属

昨年創業70年を迎えた玉子型薪ストーブを制作する老舗企業。L字型の鋼材によって補強された本体はゆがみにくく、油分の多い針葉樹も使用できることから全国に愛用者を持つ。採暖、煮炊きに加え、コミュニケーションツールとしての提案も行う。

北海道函館市新川町28-6
TEL.0138-23-1455