異変がないか注意を払い利用者の安全を確保する【二幸産業株式会社 北海道支社】

経験を生かして大規模商業施設の管理会社に転職した佐々木さん。これまでとは桁違いに大きな施設の迫力に圧倒されながらも業務をこなし、複数の資格を取得するなどスキルを身に付けていきます。

ビルメンテナンスサービスの会社に勤務していた佐々木さんは、同業である二幸産業株式会社の募集広告を目にしました。「函館近郊で最大級のショッピングセンターがグランドオープンすることになり、求人はそれに伴うスタッフの募集でした。仕事で培ってきた経験を十分に生かせると思い、転職を決意しました」。

新たな職場ではこれまでと同様、施設内の電気やガス、水道などの管理とメンテナンスが主な業務。基本的な作業内容は以前の職場と大きく変わりませんが、施設の規模が数倍大きくなった分、見回って歩く距離が大幅にアップしたそうです。「ショッピングセンターの営業時間に合わせて、1日に複数回施設の中と外を巡回します。朝一番の巡回は外回りのチェックから始まり、窓やドア、壁に異常がないかなどを確認。その後館内に入って、照明がすべて点灯しているか見て回ります」。

担当するショッピングセンターは、サッカー場が5つ以上入る広さがあり、万歩計は毎日1万歩を超えます。不具合を見つけた場合には原因を調べ、応急処置のできるものは迅速に対応。修理に必要な技術と知識は独学で勉強し、転職してから現在までにおよそ10種類の資格を取得したそうです。

巡回する時には、惰性にならないように心掛けていると佐々木さんは言います。「毎日繰り返し行う業務なので、どうしてもマンネリ化してしまいます。照明が切れていないか、水漏れやドアの異音はないかなど一つずつ注意深く見て、気付いた点はその場ですぐにメモを取る癖をつけました」。

館内の温度を適温に保つのも、重要な業務の一つです。館内数カ所に取り付けられた温度計を定期的に確認するのと同時に、テナントの店舗スタッフにエアコンが効き過ぎていないか尋ねることもあるそうです。「動き回っている私たちよりも、売り場にいる人のほうがお客様の感覚に近いと思います。不具合や困ったことがないかの確認も兼ねて、声を掛けることが多いですね」。

また、点検項目の中には週に一度行う水道水の残留塩素測定や、2カ月ごとに行う空気環境測定の検査もあります。頻度が少ない分忘れがちになるので、事務所内のホワイトボードへ書き込み常に目に付く状況にすることで、うっかりと検査を忘れてしまわないように工夫しているそうです。

作業中は脚立を利用することも多く、4メートルを超えるものを使うことも珍しくありません。そこで重要になるのが安全の確保です。「脚立を使う時にはヘルメットと軍手を着用し、二人組で行います。店内を小さなお子様が走り回ることもあるので、移動する際には物や人にぶつからないように注意するなど、周囲の安全確認は徹底して行います」。

入社して16年、まもなく60歳になる佐々木さんは、自分が経験してきたことをしっかり伝えていきたいと後輩の育成にも力を入れています。「現場では予想外のことが起こることもあります。そんな時にどう対応すればいいのか、マニュアルだけでは分からないことをできるだけ引き継いでいきたいですね」。

重要なのは、実際に体験させてみること。未経験で入社したスタッフと館内を回って仕事を教え、タイミングを見極めながら少しずつ作業を任せて、一つひとつの業務を身に付けてもらうのだそうです。「コミュニケーションを重視しつつ、なれ合いにならないように注意しています。時には厳しい上司を演じることも必要ですよ」と、トレードマークでもある人懐っこい笑顔で話してくれた佐々木さんでした。