施設の特性を見極めて愛好家が納得するサウナタイムを提供する【プライベートサウナステイ Shinori】
2023年11月13日公開
サウナ愛好家から一転、父が始める貸切制サウナの責任者として運営を手伝うことになった川辺さん。同じ趣味を持つお客様と交流しながら知見を広め、効率とサービスの更なる向上を目指します。
店長/川辺武蔵さん(21歳)
商学部でビジネスの仕組みや理論を学ぶ現役の大学4年生。休日はアロマオイルのフレーバーを変えながら終日サウナで過ごすこともあるサウナ好き。お気に入りのアロマは柑橘系。
苦手意識のある業務は経験を重ねて克服する
大学で商業学を学んでいた川辺さんは、父親からサウナ付きの宿泊施設を始めるから手伝ってほしいと相談を受けました。「父と一緒にテントサウナなどで遊んでいたこともあり、抵抗感はありませんでした。運営についても大学で学んだことを実践できそうだったので、やりがいがあると思い承諾しました」。
仕事内容は予約受付業務と施設の維持管理がメイン。これまでにスーパーでのアルバイト経験はありましたが、お客様相手の電話対応は初めて。見ず知らずの相手と電話で話した経験がほとんどなかったので、当初は苦手意識があったそうです。「電話での応対はひと月ほどで慣れましたが、名前を一回で聞き取るのは今でも難しいですね。そんな時は言葉遣いに注意して、『もう一度伺ってもよろしいでしょうか』と聞き直しています」。
作業中で電話に出られなかった時には、落ち着いて話せる状況になってから掛け直し、「電話をいただいておりました」と一言添えます。基本的に施設を利用したいと思っている人が連絡しているので、折り返し連絡しても相手は好意的に応対してくれるとのこと。電話嫌いの人でも怖がらなくて大丈夫だと言います。
予約の場合には、代表者の名前と連絡先の他、利用日、プラン、人数を確認。BBQ付きプランのお客様には予算を聞き、最後に復唱して確認します。
安全に楽しむための注意点をしっかり伝える
1日の作業はサウナを温めることからスタート。室内が十分な温度になるまでには時間がかかるので、お客様が到着する1時間半前にはストーブに薪を入れて火を付けます。「薪はたくさん入れればいいというわけではなく、組み方次第で燃焼時間も異なってきます。経験を重ねながら効率的な方法を確立していきました。今では薪がどのくらい必要か分かるようになりましたね」。
火のセットが済んだら、屋外に設置された水風呂用の浴槽に水を張り、サウナ室のベンチにマットを敷けば準備完了。予約者の来店を待ちます。
チェックインの手続きが済んだお客様には、サウナ使用時の注意点を案内します。「最初にやけど防止のため、ストーブには絶対に触ってはいけないと伝えます。熱せられたサウナストーンに掛ける水の量も重要です。多過ぎると湿度が上がり、熱が伝わりやすくなって危険なので、適量を説明します」。
他にも、ドアを開けてサウナ内の温度を調整する方法や、アロマオイルの使用量など、安全にサウナタイムを楽しんでもらうためのポイントを紹介。その際、アロマオイルの入れ過ぎで目が染みて大変だったという自身の体験談を話し、よりリアルに感じてもらおうと工夫しているそうです。
新たな価値とサービスで誰もが知る施設を目指す
お客様がサウナを使用している間は事務所で待機し、およそ30分おきに薪を補充します。作業中に話し掛けられることも多く、川辺さんはそうしたお客様との会話が勤務中の楽しみだと言います。「サウナを目的に道外から来る人も多く、全国のサウナ情報を聞けるのがいいですね。堅苦しい言葉遣いはあまり使わず、フレンドリーに話すと会話も盛り上がりますよ」。
12月からはいよいよ宿泊施設もオープンの予定。仕事量も増えて今よりずっと忙しくなることが予想されますが、外国人などお客様の層も広がるのではと新たな出会いに期待を寄せています。「将来的には、北海道でサウナと言えばShinoriと紹介されるくらいの施設にしたいですね。そのためにはお客様の期待と要望にどれだけ応えられるかが鍵だと思っています」。新たな価値を生み出してサービスとして提供していくという、大学で学んだ商業のスピリットを胸に、北海道らしさを出したおもてなしを模索する川辺さん。お客様に対して何ができるのか、難しいテーマですけど考えているだけで楽しいですよ、と笑顔で語ってくれました。
バーベキュープランのお客様用にコンロをセット
休憩用の椅子を同じ向きにそろえてセッティング
サイズと乾燥状態を確認しながら薪を選ぶ
サウナのベンチにマットを敷き詰める
火のまわり方を考えてストーブ内に薪を置く
水風呂用の浴槽はスポンジでしっかり擦って洗浄
お客様にひと声掛けて、反応によって対応を変える
オーナー/川辺雄介さん
店長の武蔵は愛想がよく、対応も丁寧なのでお客様受けがいいですね。私も長年接客業に携わっていますが、接客は人見知りをしないで、自分から笑顔でコミュニケーションを取ることがポイントです。お客様の中にも自分から話すきっかけを探している方がいますので、まずはひと言軽く声を掛けてみます。あまり会話に乗ってこなければ引けばいいだけですので、気を楽に持ちましょう。
プライベートサウナステイ Shinori
2023年7月開業、フィンランド式サウナとテントサウナが楽しめる時間制のプライベートサウナ施設。気密性が高く、道内最高クラスの高温サウナとして知られ、全国からサウナファンが訪れる。12月からは宿泊サービスも提供。
北海道函館市志海苔町404-3
TEL.080-3533-4376
https://www.private-sauna-shinori.com