私が選んだ職場【特別養護老人ホームおおぞら】
2020年12月21日公開
福祉の世界とは全く縁のなかった佐藤さんは、ふとしたきっかけで介護の資格を取り、数年後には新たな資格も取得。経験を積むために入った施設も、気が付けば勤続14年。今日も笑顔で利用者様をお迎えします。
介護保険制度の誕生で初めて知ったホームヘルパーという仕事。キャリア20年の今でも学ぶことばかりです。
ショートステイ担当 リーダー/佐藤眞弓さん
ゼロから始めた介護職のキャリアは20年以上。勤務中のモットーは「優しさを忘れない」こと。
人の役に立つ仕事をしたい。その思いを新制度が後押し。
専業主婦として3人の男の子を育ててきた佐藤さん。子どもたちが小学校に通うようになったころから、手の空いた時間を利用して働けないかと職に就くことを考え始めたそうです。そんな時に目にしたのが、介護の資格の一つ、ヘルパー2級講座の受講者を募集する新聞広告でした。当時は介護保険制度のスタートを目前に控えた時期で、ホームヘルパーという仕事があることをその募集広告を見て初めて知ったと言います。「以前から人の役に立てる仕事に就きたいと考えていたので、家事などのお手伝いなら自分でも挑戦できるんじゃないかと思ったんです」。家族に相談し、早速受講することを決意。講座を主催する会社がヘルパーステーションを新設するタイミングと重なり、受講後はそのままヘルパーとして登録。介護の世界で働くことになりました。
手探り状態で取り組み、キャリアアップにも挑戦。
佐藤さんの職場は時間の融通が利き、自分の都合に合わせられる働きやすい環境。「1時間、2時間と勤務時間を調整できました。次の仕事まで時間があれば一度家に帰ることもでき、午前中の仕事を終えてから帰宅し、子ども達が遊んでいる夕方に再度仕事に行くという働き方もできましたね」。一方、ヘルパーの仕事については、しばしば迷うことも多かったそうです。「家族の食事の準備やペットの世話は、介護保険制度で定められた業務の範囲外であり、例えば息子さんと二人暮らしの家庭に派遣された時に、少し多めにカレーを作るくらいのことは人情的にいいんじゃないの、と思うこともありました。今でしたら、保険は適応されないけど許容されるサービスのラインを理解していますけど、介護保険制度がスタートしたばかりだったこともあり、ヘルパーステーションの事務所内でも、制度内でどこまでしていいのか対応に右往左往する日が続きましたね」と、当時の様子を振り返ります。
その後、ヘルパーとして7、8年。フルタイムで働いても問題のない家庭環境になったことを機にケアマネジャーの資格を取得。ヘルパーの仕事を卒業します。この時、すぐにケアマネジャーとして勤務はせず、介護施設の介護スタッフとして働く道を選びます。「ヘルパー時代は家事のお手伝いがほとんどで、介助の必要のない方ばかりを相手にしていました。在宅の利用者様が後々施設に入るパターンが多く、施設での生活を知らないままでは、十分なマネジメントを行えないと思ったんです」。佐藤さんは、キャリアアップに必要な勉強をするつもりで「おおぞら」で働き始めました。
利用者様を通して学ぶ場でもある職場。
施設では移動する際の介助や、入浴のサポートなど身体介助がメイン。転職した当初は筋肉痛の絶えない毎日だったという佐藤さんですが、徐々に仕事にも慣れて勤続期間も長くなってくると、このままこの施設で働くのもいいかなと思うようになっていったそうです。「自分自身も歳をとってきたので、ここからまた違う仕事を始めるのも大変だと思ったんです。外泊から戻った利用者様から、ここのほうが落ち着くわ、とうれしい言葉を掛けてもらえることもあり、気が付けば14年が経ちました」。
現在、ショートステイのユニットリーダーとして活躍。比較的元気で一人で歩ける利用者様も多く、それ故に転倒には気を付けていると言います。「昨日まで元気だった方が、転んだことがきっかけで運動機能が衰え、寝たきりになってしまうケースもあるんです」。今元気な方が明日も元気という保証はないので、気を引き締めて業務に取り組むことを常に心掛けているそうです。時には利用者様の姿が実母の姿と重なり、介護が必要になる日のことを考えるきっかけになったり、自分はこういうふうに年を取りたいと思うこともある現在の職場。「いろいろと参考になりますね」。定年を迎えるその日まで、佐藤さんの学びの日はまだまだ続きます。
施設利用者一人ひとりの状況を日誌に書く
こまめな声掛けで様子を伺う
スタッフと協力して部屋の掃除は手早く済ませる
利用者様と向き合うことで、思いやりの心が磨かれます。
30名の介護職員中、25名が介護福祉士の資格を持つなどベテランが多く、スタッフの男女比もほぼ半々なのが当施設の特徴です。一方、高齢化が進むこれからの時代を見据え、若手の育成にも力を入れています。体の不自由な人に対して何をしてあげられるのか、常に考えさせられる職場で、相手を思いやる優しい心が自然と身に付く仕事ですよ。
社会福祉法人 函館愛育会 特別養護老人ホームおおぞら
「和顔愛語(わげんあいご)」を理念に、和やかな笑顔と愛のこもった言葉で、家庭にいるような雰囲気づくりに取り組む介護施設。地域の力で周りの高齢者を支えていこうと、介護助手の受け入れにも積極的。
函館市銅山町12
TEL.0138-36-1100
http://oozora-tokuyou.com