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私が選んだ職場【澤田米穀店】

2021年2月8日公開

私が選んだ職場

飛行機好きが高じて航空自衛隊に入隊。赴任先で知り合ったお米農家の取り組みに触れていく中で次第にお米の魅力に引き込まれていった澤田さんは、それまで考えたことがなかった家業を継ぐ道を選びました。

見知らぬ地での出会いが刺激になって道南初のお米アドバイザーに。

お米アドバイザー/澤田導俊さん(41歳)
北斗市出身。新たなお米屋のスタイルを模索する老舗米穀店の4代目。趣味はサーフィン。

生産者の取り組みに米の楽しさを知る。

お米屋さんの後継として働き始めて12年、それ以前は航空自衛隊の救難隊員として活躍していました。「実は、物心付く前から米屋という環境で暮らしてきたので、家業を将来の自分の仕事という目で見たことはなかったんです。かといって将来やってみたい仕事があったわけでもなく、子どものころから飛行機が大好きだったという理由で、高校卒業後に航空自衛隊へ入隊しました」。
入隊後の配属先は、かつて加賀百万石とうたわれた石川県。ここでの経験がその後の人生に大きな影響を与えます。「7年いる間に、兼業農家の友人がたくさんできました。米生産量の主役が東北、北海道と移っていく中、危機感を持った生産者は共同で会社を立ち上げてオーガニック米を作ったり、珍しい品種のお米を栽培してインターネット販売するなど、複数のグループが特色のある取り組みをしていたんです」。
地元の北海道では農協にお米を卸す大規模農家がほとんど。低迷する現状を脱するため、新しい米づくりを組織的に取り組んでいることに感動した澤田さんは、「あの7年間でお米づくりの魅力を教わりましたね」と当時を振り返ります。

誰もが反対するからこそ試してみたくなった。

この取り組みを地元でやれば成功するかも。そう考え始めた澤田さんは、帰省した折に実家の商売の状況を把握しようと祖父や父親に聞き取りを開始。同業者にも現状を聞いて回りました。「お米で商売するのはやめた方がいいとか、自分の代でお店は終わりにするという答えばかりで、それを聞いて逆にやってみたくなったんです。ライバルがいないってことですからね」。
それから間もなく、自衛隊を退役して実家に戻り、父親の手伝いをしながら事業の実務を習得。お米以外にも灯油やプロパンガス、暖房器具の修理や販売など覚えなくてはならないことがたくさんありましたが、自衛官時代にヘリコプターの整備をしていた経験が役に立ち燃料の取扱い方や機器の修理等、比較的短い期間で一通りの作業を覚えることができたそうです。
その一方で苦労したのがお米づくりでした。当初、肥料や農薬の使用を減らしたお米を作ろうと思い、休耕田を借りて自分で始めたところ、あぜを作るだけでもひと苦労。付け焼き刃でできることではないことを痛感し、お米の生産はプロに任せることにして、現役の農家さんの元を訪ねては、肥料と農薬の使用量を抑えた特別栽培米づくりに協力してほしいと呼び掛けます。「最初はすべて断られましたね。それでも根気よく交渉を続け、昔からお付き合いのある農家さんの田んぼで田植えを手伝ったりしながら徐々に信用を得ると、小さな面積でよければと試してもらえるようになりました」。

対面販売を強化して既存のスタイルから脱却。

5年程の時間をかけて、徐々に協力者を増やしていくことに成功すると、続いて店舗の改装に取り掛かります。「それまでは工場で精米していたものを店頭に並べて販売していました。お米は野菜と同じ生鮮品で、精米したての方が断然うまみが強いんですよね。せっかく良いお米を作っても、おいしい状態で販売できないのでは本来の味を伝え切れません。そこで思い切って、複数の玄米を並べて1キログラムから対面で販売できるお店に改装することにしたんです」。
この狙いは大当たり。対面販売にしたことでお米の特徴や生産者の米づくりへの思いも紹介することができ、いつしかお米だけでなく生産者にファンが付くようになりました。「お米は品種ではなく、作り手で味が変わることを伝えたかったんです。ファンになると、別の銘柄も食べてみたくなってお米を選ぶ楽しみが生まれます。生産者にもお客様からこんな反応があったと伝えると、次はもっとおいしいお米を作ろうと更にモチベーションが上がるんですよ」。
生産者と消費者の間に入り、それぞれの思いをつなぐのが小売としての役割だと話す澤田さんは、お米のおいしさをより具体的に説明したいと思い、お米アドバイザーの資格を取得。「これからもお米が取り持つ人の輪を広げて、お米の消費アップにつなげていきたいですね」と、目を輝かせながら語ります。

  • 注文に応じて玄米を取り分ける

  • お客様にお米の味の感想を聞く

  • 地方発送するお米を準備

  • お米を使用した商品を製造販売

  • 玄米はその場で精米

ご飯を上手に炊くための情報をお客様にお伝えします。

お客様に定期的に購入していただくためにも商品一つひとつの説明は欠かせませんね。例えば、どんなお米でも水加減一つで味が変わります。同じお米でも新米と収穫から1年近く経ったお米では吸水率も変化し、米粒の大きさによって同じ一合升を使っても重量が異なります。おいしく食べるための重要な情報を提供するために日ごろから勉強は欠かせません。

澤田米穀店

大正4年創業。「お米のおいしい食べ方の提案」をテーマに、生産者の元で直接買い付けた特別栽培米を販売。玄米を使用したビールや、子どもでも安心して食べられるポン菓子などオリジナル商品の開発も精力的に行う。

北海道北斗市中央2丁目3-1
TEL.0138-73-2210
https://sawada-gohan.com