私が選んだ職場【お弁当 函館甚兵衛 七重浜店】

将来は起業して新しい函館名物を生み出したいという夢を持つ竹田さん。初めて体験する飲食業の厨房で料理を作る楽しさと、食べてもらえる喜びを知り、ますます仕事に熱が入ります。

生まれ育った函館を離れ、全国展開する小売業の社員として10年間書籍と雑貨を扱ってきた竹田さんは、転職先探しを始めます。「ゆくゆくは地元で飲食関係の会社を作って新たな名物を生み出したいという夢があり、まずは函館に戻ろうと思ったんです。転職先を探す中、募集内容が将来考える事業のイメージと一致する甚兵衛の求人が目に留まりました」。
料理の経験はほとんどありませんでしたが、入社後に店長から一つひとつ丁寧に教えてもらい、今ではひと通りのメニューに対応できるまでに成長。しかし、ベテランスタッフのように次々と業務をこなすには、まだまだ経験が足りていないと言います。「当社では、極力早くお客様にお弁当を出すことを重視しています。その点、私はまだまだ力不足で、先輩達の無駄のない動きを目の当たりにすると、自分も頑張ろうと奮い立ちます」。商品提供のスピード化を図ると同時に、味や見た目など食事としての質を保つ必要もあり、一朝一夕にはいかないと飲食業の難しさを肌で感じているそうです。

幹部候補として入社して一年半、竹田さんは「料理」という新しい世界を知る楽しさと同時に、自分が作ったものをお客様に食べてもらえる喜びを感じているそうです。「レジで常連のお客様を見かけると、『良かった、口に合ったんだな』とほっとします。前より上手に作れると自分でもうれしいです」。
また一方では、食べ物を提供する側になって初めて知ることもありました。料理を提供するにはおいしさだけではなく、安全であることも重要。作業台を常に清潔に保ち、異物混入に細心の注意を払うなど、安全面の取り組みに触れることができたのは大きな収穫だと言います。
接客もまた、重要な業務の一つです。「清潔感のある身だしなみを心掛けるのが基本ですね。家庭的な温もりの感じられるお店づくりを目指しているので、堅苦しい言葉遣いを極力避けています」。実家にご飯を食べに来たようなアットホームな雰囲気が出せたらと、お客様には自分から話し掛けるそうです。

現在、竹田さんは厨房内での業務や接客の他、特注弁当の配達、メニュー変更に伴うチラシの作成など多岐にわたって活躍中。特注弁当のオーダーを受ける度、市民の方々から支持されていることを強く感じると言います。「他にも多くのお店がある中で、今でも変わらず当店を選んでくれるのは長年に渡って築いてきた関係があるからこそ。これからも市民の皆さんからの信頼を守っていかなければと思いますし、更に強めていきたいと思います」。
昨年からのコロナ禍を受け、同社では子ども食堂への弁当寄付や、外国人留学生への弁当無料支援活動をスタート。支援活動を続けたいという社長の考えに共感する竹田さんは、「会社が成長するための力になりたい」と語ります。当面の目標は、函館の新名物を甚兵衛の商品として作ること。市民や観光客に愛され、テレビでも取り上げられるような商品を企画して甚兵衛の名を全国区に押し上げる。いつの日か函館の新名物を生み出したいという夢に向かって、竹田さんは少しずつ動き始めています。