こつこつと蓄えた知識をベースに、お客様のベストな一本を選び出す【ショッピングコア イチマス】
2022年4月18日公開
長年、スーパーの酒類担当として勤務してきた成田さんは温泉地にある老舗リカーショップに転職。専門店ならではのスケール感に圧倒されながらも持ち前の好奇心を生かして、職場になじんでいきます。
責任者/成田健二郎さん(42歳)
函館市出身。日本酒はやや辛口が好み。焼酎は米焼酎の水割り、ウイスキーならソーダ割りとこだわりを持ちつつ、新たなお酒にも果敢にチャレンジする週末限定の宅飲み派。ジョギング愛好家でもある。
商品の特徴を覚えて接客の質を高める。
大学を卒業後、スーパーで働いていた成田さんは、40歳を前に将来のキャリアプランを見直して転職を決意しました。「スーパーでは主に青果と酒類を担当していました。この経験が生かせて、好きなお酒にもっと深く関われる仕事に就きたいと思ったんです」。転職先を探し始めたところ、タイミングよく老舗のリカーショップ「イチマス」で求人が出ていることを知りすぐに連絡。面接を経て採用が決まりました。
接客を希望したこともあり、新たな職場では店内での接客と、酒類の発注、商品の補充業務を担当。お酒の知識についてはそれなりに持っているつもりでしたが、店内に並ぶ商品は見たことのないものばかり。「これまで扱ってきたお酒の10倍以上は種類がありましたね。味や産地など、お客様からの質問に答えられないこともありました」。ここで働くには勉強が必要だと感じた成田さんは、まずは商品を覚えることから始めようと目標を設定。棚の整理や掃除をしながら、時間が許す限り商品を見ることを日課とし、外国産のワインなど名前の覚えにくいものについては声に出して暗記。更に、人気のあるお酒を自ら購入し、実際に飲んだ時の味の印象を書き留めておくなど、工夫しながら勉強を続けました。
データと情報を精査して、発注数を調整する。
商品の種類の多さと同じくらい驚いたのが、取り扱うお酒の量でした。「当店は温泉街という場所柄、ホテルや飲食店との取引が多いのが特徴です。一度の注文で受ける量が、スーパーの時とは桁違いで、お酒ってこんなに売れるものなのかと衝撃を受けました」。注文を受けても慣れないうちは、10ケースではなく10本の間違いではないかと不安を覚え、メーカーに発注する際もこんなに大量に頼んで大丈夫なのか心配する日が続いたそうです。
その後、順調に売れていく様子を見て、ようやくためらわずに発注できるようになったという成田さんは、発注する際には「売れ筋」を意識することが重要だと言います。「販売の傾向を見極めて、人気商品は売り損じがないように量を増やす一方、季節限定商品は残ってしまうと売り切るのが大変なので、過去のデータを参考に数量を決めます」。商品によっては賞味期限が短いものもあり、コロナ禍のように不測の事態が売れ行きに影響することもあるので、情報収集は欠かせないそうです。
豊富な知識でお客様の質問に備える。
入社から2年半、一通りの業務を覚えた成田さんの今後の目標は、今以上に商品知識を身に付けること。父の日やバレンタインなど、贈り物としてお酒が利用されるケースが増えている中、用途に応じた案内ができるだけの商品知識が必須だと身に染みて感じています。
「『お勧めはどれですか』と聞かれることがありますが、贈り物の場合はお客様自身が飲むわけではないので答えに詰まります。贈る相手の好みを伺いながら、最終的に一本に絞り込んでいきます」。謎解きにも似た一連の作業は接客時の楽しみでもあり、後日来店したお客様から「おいしかったと喜んでもらえました」と聞けば、うれしくなってまた勉強しようとモチベーションも上がると言います。「お客様の喜ぶ声を聞く瞬間が、一番やりがいを感じますね」と、顔をほころばせる成田さん。今夜の試飲するお酒の量が少しだけ増えそうです。
陳列棚のお酒に気をつけながら商品を運ぶ
ボトルを拭く時には滑り止めの付いた手袋を着用
無理なく運べる範囲で商品を補充
在庫を確認しながら発注する
贈り物用の商品を丁寧に包装
ラベルを正面に向けてお客様が商品を見つけやすくする
ポスターを貼って商品をPR
興味を持って得た知識が接客時の自信にもつながります。
働く上でお酒に詳しいに越したことはないですが、私自身、入社してから覚えたことのほうがずっと多いです。旅行者が多い店なので北海道のお酒や人気のフランス産ワインを重点的に覚えると経験上、接客ですぐに役立ちます。お酒の世界は奥が深く、歴史などを調べると楽しい逸話も出てきます。知識が増えることで自信を持って案内できるようになりますよ。
株式会社イチマス
ショッピングコア イチマス
昭和10年の創業時から「これぞ」と思うお酒を厳選してお客様に提供してきた酒類卸販売店。全国の酒造メーカーとのパイプも太く、数量限定の商品も数多く取り扱っている。広い店内には各種のお酒が見やすく並び、観光客から地元の左党まであらゆるお客様のニーズに応える。
北海道函館市湯川町1丁目26-29
TEL.0138-57-3251
http://ichimasu-hakodate.com/