難しさを楽しさに置き換えて、お客様が喜ぶパン作りに打ち込む【キングベーク本店】
2022年8月8日公開
母親のお菓子作りを手伝い調理の楽しさを知った佐々木さん。製菓専門学校で体験したパン作りの授業で製パンの世界の楽しさと奥深さを知り、パン職人への道を歩み始めます。
佐々木愛美さん
令和3年入社。プライベートな時間よりも、職場にいる時が一番楽しいというパン職人2年生。好きなパンはシンプルな味わいが特徴のキャロットパンと、ふんわり軟らかな歯応えが癖になるハイジの白パン。
難しさにやりがいを感じ、パン職人への道を志す。
高校を卒業後、製菓の料理学校に通い始めた佐々木さんは、授業でパン作りを経験したのをきっかけに、将来はパン職人になりたいと考え始めました。「もともとはパティシエを目指そうと思って専門学校に入ったんです。製パンの授業で自分が成形したパンが焼き上がっていく様子を見た時に、パン作りの魅力に目覚めました」。
発酵や成形、温度管理など、お菓子作りに比べると一つひとつの作業が難しく、調理実習では失敗することもしばしば。「例えば、パン生地の成形時に丸め方が十分でないと、生地がほどけて膨らまないことがあります。入学して半年はほとんど失敗の連続でしたが、うまくいった時には喜びも大きく、やりがいを感じました」。
自宅で練習を重ねるなど努力の結果、進級するころにはコツをつかんだ佐々木さんは、その後もパン作りの練習に没頭。校外実習の職場体験で訪問したキングベークに就職することが決まりました。
失敗した原因を考え業務の改善に生かす。
パンの製造スタッフとして入社した佐々木さんは、一週間ほど座学研修を受けた後に本店へ配属。先輩スタッフに手ほどきを受けながら1カ月間の実務研修として仕込み、成形、焼成など一通り作業を経験。本店で業務の流れを覚えていきました。「道具の使い方は専門学校で教わっていたお陰で、戸惑うことはありませんでした。100種類以上ある商品のレシピも分かりやすくまとめられていて、すんなりとなじんでいけました」。
研修期間も終わり、改めて成形と焼きの業務を担当することが決定。以来、作業前にレシピの確認を入念にしていましたが、時にはミスをすることもあったと言います。「パンに焼き色を付けるため追加で釡に火を入れたのですが、タイマーのスタートボタンを押し切れていなかったんです。焼き上がりの時間が過ぎても音は鳴らず、パンは真っ黒焦げでした」。
またある時には、発酵機から出した鉄板が結露で滑りやすくなっていることに気付かず、うっかり手を滑らせてパン生地ごと床にばらまいたこともあるそう。こうした失敗を経験する度に原因を考え、再発防止に役立てきたそうです。
新商品の開発という新たな楽しみ。
パン職人として2年目を迎えた現在、佐々木さんは新たな商品の開発に興味を持ち始めていると言います。「当店では新商品の開発に積極的で、毎週スタッフがアイデアを出し合いながら新たなパンを試作しています。実は、一度だけ私が発案したパンが採用されたことがあり、レギュラー商品化されたんです。とてもうれしかったですね」。
新しいパンを考える時に忘れてはならないのが、お客様がどのようなものを求めているかという点。店頭の意見箱に寄せられたお客様からのご意見や、接客中の会話をもとに、季節感や流行のスイーツなどを調べ上げて新商品を考える過程は、実際のパン作りとはまた違った楽しさがあるそうです。
もちろん、パン職人としての技術の向上も、これからの重要な課題の一つ。「いくつかある製造工程の中で、仕込みについてはまだ携わったことがありません。温度や湿度、使用する酵母によって発酵時間も変わってくるので難しいと先輩からは聞いています。どれくらい難しいのか気になりますね」。
難しい業務への不安よりも、新たな経験を積むことが楽しみで仕方がないと佐々木さんは話してくれました。
両手同時に均一な力加減で生地を丸める
オーブン用の鉄板を一枚ずつふき掃除
パネルを操作して機械をセッティング
パンがつぶれないように優しく扱う
お客様の注文に合わせて食パンをカット
天然酵母系のパンは個別に袋詰めして陳列
お客様一人ひとりの要望に対応する
シフトの関係でレジ業務を担当する事もありますが、いろいろなお客様とお話できるので楽しいですね。お会計の際にはお持ち帰りかイートインなのかを確認し、レジ袋が必要かもチェック。食パンを購入される方にはスライスするかお聞きするなど、お客様がどのようなことを希望されているか考えて臨機応変に対応します。時には「こんなパンがあったらいいな」とアイデアをいただくこともあり、接客はパン作りにも役立っています。
キングベーク 本店
昭和4年の創業以来、市民の食卓を支えてきた老舗ベーカリーショップ。食パンに代表されるブレッド系のパンから、ハード系、お菓子系、惣菜系、天然酵母系など、毎日100種を超える焼き立てパンが並ぶ。併設するイートインスペースでは購入したパンをはじめ、モーニングセットやランチセット、カツ丼やカレーなどのご飯メニューも楽しめる。
北海道函館市亀田本町7-8
TEL.0138-45-0963
https://kingbake.co.jp/