生産者、消費者双方から選ばれ愛され続ける製品を作りたい【株式会社山本忠信商店】

十勝で初めて建設された小麦の製粉工場で働く鷲北さん。生産者が苦労して育てた小麦を消費者に届けるため、現状に満足せずより良い製品づくりを追求。今年はISO22000の取得に力を発揮するなど、活躍の場がどんどん広がっています。

音更町で小麦や豆、野菜などの畑作農家を営む祖父と父親の影響で、農業が身近な存在だったという鷲北さん。「高校生までの住まいは畑から離れていましたが、祖父が暮らす家のそばに引っ越してからは、作物が成長する姿を間近で見ることができ、手伝いをするのが楽しかったです」。高校は土木課で測量や土木施工について学び、卒業後は産廃業や建築関係の仕事を経験。更に新しい環境で仕事に挑戦しようと考えた時、頭に浮かんだのが「農業に関わりたい」という思いでした。「ヤマチュウ（山本忠信商店）のことは以前から知っていました。妻がパン作りのためにインターネットで地元産小麦が買える所を調べていたところ、偶然ヤマチュウの求人を見つけたことから仕事に興味を持ったのがきっかけです」。入社試験を受け採用された鷲北さんが配属されたのは、現在の職場である「十勝☆夢mill製粉工場」。「食品業界ならではの厳しい衛生管理のルールや、小麦についての知識を一から学びました」と入社当時を振り返ります。

当社は豆の卸売業として創業。北海道産の豆類と小麦を中心とする穀物の集荷事業や、加工食品の開発などを行っています。「つくるを食べるのもっと近くに」をテーマに据え、生産者と加工業者、消費者をつなげるための活動を積極的に行っています。鷲北さんが働くのは、2011年に稼働をスタートさせた十勝で初めての製粉工場。ここで計画に沿って機械を稼働させ、より良い製品を安定して提供できるように機械のメンテナンスなどを行っています。「今特に力を入れているのは、歩留まりを向上させるために、分析チームと相談しながら安定した製造を行うことです」と鷲北さん。4階建ての施設には、小麦を製粉して袋詰めを行い出荷するまでのラインが整えられ、すべてが機械化されています。これらの機械が滞りなく動くよう、日々目を配り、手を掛けるのが鷲北さんの仕事です。「機械に何らかのトラブルが起きた時は、数字に表れたり、機械音が微妙に違うことがあります。いつもより生産効率が悪い場合はどこかのラインで目詰まりが起きていたり、機械の動きが悪かったりするので、問題点を見つけ出しメンテナンスを行っていきます」。

こうした日々の僅かな変化を見逃さない姿勢は周囲からも一目置かれるようになりました。製造部部長の宮部稔勝さんは、「勉強熱心でメンテナンスの知識も豊富なので、機械トラブルもぐんと減りました」と鷲北さんの仕事ぶりを評価します。

当施設の今年の大きなニュースは、6月に食品安全の国際基準であるISO22000を取得したことです。鷲北さんは、取得に向けたプロジェクトチームの一員として、一つひとつの機械が基準を満たすよう、危害分析表を作って問題の解決に取り組みました。「取得後も適正な運用で、安心安全な製品を製造し続けていきたいです」と気を引き締めます。今後は生産者、消費者双方から選ばれ続けるために、期待に応えられる製品を作っていくことを目標に掲げる鷲北さん。「営業担当の社員を通じて、お客様からの製品に関するお褒めの言葉を聞くとモチベーションにつながります。社外研修の場なども活用して、技術や知識を高めながらより良い製品を作っていきたいです」と前を見据えます。これからも十勝の基幹産業に新たな価値を加えるため、鷲北さんの挑戦は続きますね。