サッカーの選手と正社員の仕事を両立。夢に向けて頑張りたい【天然温泉 やよい乃湯】

「北海道十勝スカイアース」のサッカー選手と温浴施設での仕事を両立している中山さん。けがをして職を変える経験を振り返り、支えてくれた周囲の人への感謝の気持ちを語ります。恩返しのためにも、Jリーグ参入を目指し、仕事とサッカーに前向きに取り組む毎日です。

中山さんは大阪の大学を卒業後、サッカーチーム「北海道十勝スカイアース」に入団し、チームの紹介でドラッグストアに就職しました。しかし、足のけがのためドラッグストアを辞め、清掃会社のアルバイトで「やよい乃湯」の清掃の仕事に就いていた時、当社社長から「うちで正社員として働かないか」と声を掛けられたそうです。「サッカー選手の活動を続けることに理解があり、昨年6月に正社員として採用されました」。ただ、担当は飲食とフロント部門と言われ、「家で料理をしないので、飲食部門の業務はできるかな」と少し不安だったと言います。それでも「いろいろな仕事の経験を積みたい」と考えを切り替え、前向きにチャレンジしました。「最初は、包丁の持ち方さえ分かりませんでしたが、従業員の皆さんが丁寧に優しく一から教えてくれたので、何とか身に付けることができました」と笑顔で話します。

大根、ニンジンなどの野菜の切り方、肉の焼き方、ラーメンの盛り付け等、基本的なことは1カ月程で一人でもできるようになったという中山さん。「マニュアルに沿って調理していますが、今でもラーメンスープを一定の味付けにするのが難しいです。『おいしい』と喜ばれるとうれしいですね」と、お客様の声を励みに毎日努力を重ねています。

フロント部門の仕事は、飲食部門との忙しさを見極め、人手が必要な時にはすぐにフォローしています。「身長が193センチあって目立つせいか、常連のお客様から『サッカーも頑張って』と声を掛けていただくことも多いですね」と、うれしそうに話します。

勤務日は朝8時から夕方5時まで働き、午後7時から9時までサッカーの練習をしていますが、「休みもきっちりともらっているので、体がきついということはありません」という中山さん。「何より正社員なので、安定した収入をいただきながら、サッカーの活動もできることに感謝していますし、飲食の仕事を始めてから自炊をするようになりました」と、勤務後の変化を語ります。サッカー選手の体づくりに役立つ栄養のバランスを考え、積極的に野菜を摂取しているそうです。

また最近は、チームメイトの体調や状態をよく観察し、何かあれば声掛けするなど、チーム全体の良い雰囲気づくりに努めていると言います。「20代前半では全くしていなかったことです。けがも含めて、お客様の様子を見て動く接客など、いろいろな経験の積み重ねにより視野が広がったのでは」と、これまでの経験がサッカー選手としても成長させてくれたと感じています。

「仕事とサッカーが両立できるのは、お客様をはじめ、従業員の方々が支えてくれるからこそです。少しでも皆さんの役に立てるよう、サッカーの試合結果で恩返しをしたい」と中山さんは意気込みます。また、「北海道十勝スカイアース」が使命の一つに掲げているのが、「地域に密着し、十勝に幸せと喜びと笑顔と感動と希望と勇気を与える活動に邁進（まいしん）すること」。まずは地域の子どもたちに希望を持ってもらうためにも、「十勝からJリーグへ」という夢の実現に向けて頑張ろうと、決意を新たにしています。

将来的に、さまざまな仕事に挑戦したいと思っている中山さん。今は接客を通してもっと学びを深め、次の仕事で生かせればと話します。「お客様が気持ち良く当館を利用できるよう、『お客様第一』のサービスを大切に、元気な声と笑顔での接客を心掛けたいです」。これからも感謝の気持ちを胸に、仕事とサッカーに全力を注ぎます。